出産手当金(産休手当)貰える条件・申請手続き方法まとめ【2021年度版】

働くママが出産して産休をとる場合、「出産手当金(産休手当)」といって、産休中の生活をサポートするお金を貰うことができます。

人によって金額は違いますが、50万円など大きな金額になりますので、ベビー世帯にはとても嬉しい手当金と言えるでしょう。ただ、出産手当金について、その内容を詳しくご存じない人も多いようです。

そこで今回は、出産手当金について「概要」「貰える条件」「対象となる期間」「金額や計算方法」「申請手続き」「支給日」「気になる疑問」など、分かりやすく徹底解説していきます。

そもそも出産手当金(産休手当)とは?

そもそも出産手当金(産休手当)とは?

仕事をしている女性が出産する場合、出産の前と後の一定期間、仕事を休む必要があります(これを産休といいます)。しかしながら、産休期間中はお給料がでない会社がほとんどです。産休で仕事を休むと収入が減り、妊娠中、出産後の生活が不安に思う女性は多いと思います。

そんな産休期間中の生活を支える目的で、会社で加入している健康保険から支給されるのが「出産手当金(産休手当)」です。

お金を貰えるのは正社員だけではありません。勤務先の健康保険に加入していれば、契約社員やパート、アルバイトの人でも支給対象となります。また、もらえる金額は、出産する人の給料と実際の出産日によって異なります。

出産手当金の対象期間はいつからいつまで?

出産手当金の対象期間はいつからいつまで?

産休は具体的には「産前休業」「産後休業」の2つに分類できます。

  • 産前休業…出産予定日を含む産前42日(6週間)、多胎は98日(14週間)
  • 産後休業…出産翌日からの産後56日(8週間)

産前・産後休業の期間はこのように設定されており、この期間が出産手当金の対象期間となります。

【産前休業についてもっと詳しく】

産前休業はあくまで「とる権利がある」というだけで、休むか休まないかは本人の意思で選択できます。

労働基準法の第六十五条には…

使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。(出典:law.e-gov.go.jp)

と記載されています。法律的には、本人の体調が安定していて、勤務先が許可すれば、出産まで働く事は許されています。この場合、仕事をしている期間は勤務先からお給料をもらい、出産に伴い休んだ期間のみ出産手当金の支給対象となります。

【産後休業についてもっと詳しく】

産後休業の産後56日(8週間)については、そのうちの前半42日間は、法律上働くことが許されていません。後半の14日間は、本人に働きたいという意思があって、医師が大丈夫だと認めた場合には、職場復帰してもOKとされています。

労働基準法には次のように記載されています。

使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。(出典:law.e-gov.go.jp)

この場合も、休んだ期間は出産手当金の支給対象となり、職場復帰した後は勤務先からお給料という形となります。

出産手当金を貰える人の条件とは?

出産手当金は誰でも貰えるわけではなく、次の2つの条件を満たしている場合に支給されます。

勤務先の健康保険に加入していること

正社員だけでなく、契約社員やパート、派遣社員、アルバイトであっても、勤務先の健康保険に加入しているママは対象となります。ですので、例え働いていても、パパの健康保険の扶養になっている場合は対象外となります。また、自営業など個人的に国民健康保険に加入している場合も対象外となるので注意しましょう。

出産のため仕事を休み、その間賃金が支払われていないこと

産休中、賃金が少し支給されているような場合、その分、出産手当金が減額されます。出産手当金よりも賃金が大きい場合は支給されません。
妊娠悪阻などで傷病手当金の要件を満たす場合、出産手当金が優先され、傷病手当金は貰えません。もし支給された場合は、出産手当金の金額が調整されます。

妊娠4か月以降の出産などであること

妊娠4か月(85日)以降の出産や、流産・死産・人工中絶などをしていることが対象で85日未満の流産などは出産手当金は給付されません。

※以前は「健康保険を任意継続された人」「退職後6ヶ月以内に出産した人」も支給対象となっていましたが、現在は対象外なのでご注意を!

計算してみよう!出産手当金ってどのくらいの金額?

計算してみよう!出産手当金ってどのくらいの金額?

出産手当金で貰える金額は「日給の2/3×産休日数」です。日給は月給を30日で割った金額で、「標準報酬月額」によって算出されます。

標準報酬月額とは?

文字通り「報酬の月額」で、毎年1回(7月)に4月・5月・6月の給料の平均額を用いて国が決めています。健康保険は第1級の5万8千円から第47級の121万円までの全47等級に区分されています。(参照:kyoukaikenpo.or.jp)

標準報酬月額を決める際に、そのもととなる報酬は、賃金・給料・俸給・手当・賞与・その他どんな名称であっても、労務の対償として受けるものすべてを含みます。残業手当、休日手当、皆勤手当、通勤手当、家族手当、住宅手当、食事手当なども報酬とみなされるようです。

例えば、標準報酬月額が30万円のママが産休をフル(98日間)でとる場合…

日給=300,000円÷30=10,000円

出産手当金=10,000円×2/3×98日間=653,366円

という金額になります。標準報酬月額が20万円であれば435,806円。というように、とても大きな金額を貰えるので、ベビー世帯の家計にはとても嬉しい手当金と言えるでしょう。

出産手当金の申請手続き6ステップ!

出産手当金の申請手続き6ステップ!

では次に、出産手当金を申請する際の、手続きをステップごとにまとめてみました。

  • 【Step1】受給資格があるかどうかを、勤務先に確認します。(加入している健康保険によっては、受給資格がない場合も…)
  • 【Step2】産休前に勤務先で申請書(健康保険出産手当金支給申請書)をもらい、提出が郵送でもOKか聞いておきましょう。
  • 【Step3】出産で入院する際に、必要事項を記入した申請書を持参し、入院中に医師の証明を記入してもらいます。(文書料として数千円かかる場合があります。)
  • 【Step4】産休後に勤務先に申請書などを提出し、必要事項を記入してもらいます。産休後の時期はバタバタしてますから、郵送だと楽ですね…。
  • 【Step5】必要事項が記入できたら、勤務先の健康保険担当者または協会けんぽ、健保組合窓口などに提出します。
  • 【Step6】記入漏れやミスがなければ、申請してから約2週間~2ヶ月後に出産手当金が振り込まれます。

以上の流れになりますので、大まかにでも覚えておきましょう。

支給日は意外と遅い!?出産手当金はいつもらえる?

出産手当金(産休手当)という言葉を聞くと、「出産したら貰える」「産休中に貰える」というイメージを持つかもしれませんが、実際に口座に振り込まれるまで結構時間がかかります。

申請手続きの項目で書いたように…

産休後(産後56日後)に勤務先で申請書の必要事項を記入してもらって提出する。
→申請してから、さらに約2週間~2ヶ月後に出産手当金が振り込まれる。

という流れになっています。

出産したらすぐに貰えるわけではなく、産後2ヶ月半~4ヶ月後に支給されることになるんです。ママの中には「産休中の生活資金を出産手当金でまかなうぞ!」と思っている人もいるようですが、それは仕組み上できませんので注意しましょう。

「お金を貰えるのは産後4ヶ月後」という前提で、家計のやりくりをしていただけたらと思います。

出産で退職しても出産手当金を貰う裏技がある!?

2007年4月までは、退職してから6ヵ月以内の出産や、健康保険を任意継続している場合に出産手当金を貰うことができました。しかし、2007年4月から制度の変更があり、退職後には出産手当金を貰うことができなくなりました。

「じゃあ退職したら出産手当金は絶対に貰えないの?」というとそんな事はなく、いくつかの条件を満たしていれば、退職後であっても出産手当金の支給を受けることができます。

その条件は次の2つです。

  • 【1】被保健者期間が継続して1年以上あること。
  • 【2】退職時に出産手当金を受けている場合、または、受ける条件を満たしていること。
     (出産日、または出産予定日より、42日以内に退職していて、退職日に労務に就いていないこと)

一例として、次の4つの例が参考になるでしょう。

出産で退職しても出産手当金を貰う1

出産で退職しても出産手当金を貰う2
出典:kyoukaikenpo.or.jp

もし出産を機に退職をする場合は、出産手当金の取得条件を満たすようにするとお得でしょう。

出産手当金(産休手当)についてまとめ

以上、出産手当金について「概要」「貰える人の条件」「対象となる期間」「金額や計算方法」「申請手続き」「支給日」「気になる疑問」などなど紹介してきました。出産手当金のことは大体分かっていただけた事と思います。

出産手当金を貰うためには産休を取得する必要がありますが、あなたの勤務先によっては産休を取りにくい雰囲気があるかもしれません。しかし、大切なのは「無事に赤ちゃんを出産すること」「産後のママの身体を休めること」ですから、しっかりと出産手当金の仕組みを活用して欲しいところです。

産休をフル(98日間)でとる場合…

月収30万円→653,366円
月収20万円→435,806円

というように、とっても大きな金額を貰う事ができるので、働くママは是非申請して、育児ライフに役立てて頂けたらと思います。

ちなみに、妊娠・出産・育児関連で貰えるお金に関しては「出産手当金」以外にもあります。次の記事を参考にして、貰えるお金はしっかりと貰っておきましょう!

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