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産褥期(産後1,2ヶ月)の正しい過ごし方8つのポイント

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出産という大仕事を終えたママは「産褥期(さんじょくき)」という期間に入ります。産褥期はママにとってとても重要な時期で、この時期の過ごし方次第で、今後の経過が大きく変わってきます。

今回は、産褥期に起こっている身体の変化、正しい過ごし方、その他、産褥期の注意点など詳しく解説していきます。

産褥期とは?いつからいつまで?

産褥期(さんじょくき)とは、妊娠・出産で変化したママの身体が、妊娠前の状態に回復するまでの時期のことで、産後6週間~8週間とされています。

約10か月もの妊娠期間で変化したママの身体は、出産という大仕事を終えて大変疲れ切っています。この時期に無理をすることで、様々なトラブルの原因になりますし、人によっては更年期にまで影響が出る恐れがある、と言われています。

特に産後1ヵ月は「産後1ヵ月で床上げ」と言われるように、ママの身体を回復される大切な期間ですから、しっかりと休養することが必要です。

産褥期のママの症状や身体の回復、5つの主要ポイント

産褥期に、ママの身体にどのような症状が出るのか、どのように回復していくのか、主要ポイントを5つご紹介します。

子宮復古(しきゅうふっこ)

妊娠中、赤ちゃんの成長と共にママの子宮は大きくなります。縦の長さで言えば「妊娠前:約7cm→妊娠後期:36cm~40cm」のような変化があります。このように大きくなった子宮が、産後少しずつ小さくなり、出産から6~8週間後に元の大きさに戻っていきます。

(出典:premama.jp)

図のように、通常であれば、産後だんだんと子宮が小さくなっていきますが、通常の子宮収縮が見られない場合を「子宮復古不全」と言います。

子宮の回復が遅れることで感染症になったり、子宮内膜が炎症を起こして子宮内宮癒着などを引き起こすケースもあります。その影響で、出産後に不妊になったり、流産しやすくなるなどの悪影響が出ることがあるので注意が必要です。

悪露(おろ)

悪露とは、胎盤がはがれたあとの傷からの出血、子宮に溜まっていた血液・分泌物・粘液などが混ざったおりもののことです。
悪露は子宮回復のバロメーターとなる存在。産後2~3日は赤色or赤褐色で血液に近い状態、量も多いです。その後、子宮の回復とともに出血量が減り、色も「褐色→黄色→白色→透明」と変化し、産後5週間くらいでなくなります。
ですので、悪露の色や量をしっかりとチェックし、いつまでも赤色だったり、白色だったのに赤くなったり、悪露の量が増えたりなど、気になる症状があったら早めに受診しましょう。

会陰(えいん)

・会陰切開→会陰部を切開して赤ちゃんの出口を広げる処置。
・会陰裂傷→会陰部が裂けて傷ができてしまうこと。

などによってできた会陰の傷は、出産後すぐに縫合してくれます。ちなみに、初産のママの7~8割に会陰切開の処置がされているようです。最近では、抜糸の必要のない“とける糸”を使用するケースが多く、傷の治りも早いとされています。ただ、会陰の傷から細菌が入りやすくなりますから、清潔な状態を保つようにしましょう。

傷なので当然ながら痛みますが、1週間くらいするとだいぶ症状は落ち着き、産後1ヵ月くらいで痛みがなくなるようです。もし強い痛みがずっと続く、腫れがひどいなどの症状があれば、早めに産婦人科で相談しましょう。

骨盤(こつばん)

産後の骨盤矯正その前に!知っておくべき12の重要ポイント」の記事で書いたように、妊娠中はリラキシンというホルモンの影響で骨盤周りの筋肉や靭帯が緩み、出産時に靭帯が大きく引き伸ばされ、骨盤も大きく開いた状態になります。

(出典:dacco-web.com)

引き伸ばされた靭帯はだんだんと縮んで元通りになりますが、それまでは骨盤が不安定、特に産後すぐの頃はグラグラの状態です。この骨盤が、日常生活を送れるくらいに締まって安定するのに約1ヵ月かかるとされています。ですので、少なくとも産後1ヵ月くらいは安静にすることを心がけ、赤ちゃん以上に重たいものを持たないようにしましょう。

産後うつ(さんごうつ)

産後うつとは出産後のママにおこりやすい鬱(うつ)症状のこと。産後のママは身体が回復していない状態のまま、朝・昼・晩関係なく育児に追われ、睡眠不足になりがちです。最近は核家族化しているため、誰かに頼ることもできず、精神的にも肉体的にも疲れ果てているケースが多いのです。

そのため精神的に不安定になりやすく、産後うつにもなりやすくなります。データによれば、実に10~15%のママが産後うつとのこと。出産して「2~3週間以降・3か月以内」に発症することが多く、まさに「産褥期は産後うつになりやすい時期」と言えるでしょう。

産後うつは誰にでも起こりうる“病気”ですから、そうならないように対策すべきですし、もし産後うつになった場合には適切な治療が必要となってきます。産後うつについては、次の記事が参考になるでしょう。

以上のように、産褥期のママの身体はとても大変な時期で、回復するためにしっかり休ませることが大切です。この時期にどのように身体をいたわるかで、産後に「キレイになるのかor老けてしまうのか」の分かれ道になるとも言われています。

産褥期の正しい過ごし方8つのポイント

では、そんな大事な産褥期をどのように過ごせば良いのでしょうか?身体の回復を早めるための過ごし方のポイントをご紹介します。

【1】基本的には安静第一!

上に書いたように、産後のママの身体は、元の状態に戻ろうと頑張っています。ホルモンバランスも大きく変化するため、精神的にも不安定になりやすいです。ですので、基本的には赤ちゃんのお世話をする以外は、横になって休むようにしましょう。といっても、赤ちゃんのお世話をするだけでも、「数時間おきに授乳」「抱っこしてあやす」「オムツを替える」「沐浴、お着替え」などアレコレやる事はありますから、それ以外の時間はなるべく安静にしたいところです。

【2】バランスのとれた食事をする

産褥期は身体の回復を早めるためにも、バランスの良い食事を心がけ、規則正しく食べることが大切です。特に、母乳育児をしているママは、母乳を作るための栄養も必要になってきますし、質の良い母乳をあげるためにも栄養バランスには気を付けたいでしょう。
積極的に摂った方が良い栄養素は、卵・魚・肉・豆類・豆腐などの「タンパク質」、レバー・ひじき・海藻類などの「鉄分」「カルシウム」「ビタミン」などとされています。逆に、なるべく控えた方が良い食べ物は、スナックなどのお菓子やケーキなど、油脂や糖分の多いものです。また、コーヒー等のカフェイン飲料・アルコール類は、母乳を通じて赤ちゃんに悪影響があるので避けましょう。

【3】家事はほどほどにする

産褥期は基本的には安静第一ですから、身体の回復と赤ちゃんのお世話に集中し、家事はほどほどにしたいところです。特に、産後しばらくは骨盤がグラグラで不安定ですから、力仕事はできるだけ避けた方が良いでしょう。里帰り出産のママであれば実家にたっぷりと甘えたら良いですし、そうでないママは、出来るだけパパに協力してもらいましょう。

ただ、「パパが忙しい&周りに頼れる人がいない」のような環境で“家事をやらざるを得ない”ママも多いと思います。そんな場合は、自治体の「産褥ヘルパー」「ファミリーサポート」などのサービスを利用したり、民間の「食事宅配サービス」「家事代行」などを利用するのもオススメです。自治体のサービスであればリーズナブルで経済的な負担は少ないですし、民間のサービスであれば料金は高くなりますが、その分高品質なサービスを受けることができます。
(おすすめ参考記事)

【4】完璧を求めないこと!

勉強熱心で頑張り屋さんのママによくあるパターンですが、自分の理想通りに家事・育児をこなすことが出来ず、大きなストレスを感じてしまったり、「私ってダメだな…」と落ち込んでしまう人もいるようです。ストレスを抱えすぎると、のちのち「産後うつ」になる可能性もありますから、母親としての完璧さを求めすぎないように注意したいところです。ママは「母親初心者」ですから、思い通りにならないのは当たり前なのです。

【5】産褥体操をしよう!

産褥体操とは、産後すぐにでも始められる軽度な運動のこと。産後は安静第一と言っても、全く動かないと回復が遅れる原因となります。産褥体操をすることで、身体の回復が早まるだけでなく、「悪露の排泄をよくする」「母乳の分泌を良くする」「便秘予防になる」「気分転換になる」「緩んだ筋肉を引き締める」「骨盤の引き締めを促進」「子宮の収縮を促進」など、さまざまな効果が期待できるんです。

産褥体操のやり方や効果、注意点などは、次の記事にまとめたので良かったらご参照下さい。→産褥体操はやらなきゃ損!?産褥体操パーフェクトガイド

産褥体操は分娩当日から始めることも可能ですが、母体の状態は人それぞれですから、産院の先生に確認してOKをもらったら始めると良いでしょう。産褥体操はできれば実践して欲しいものですが、無理して頑張ってやるものではない、ということは覚えておいて下さいね。

【6】できれば母乳育児にする

実は、母乳育児には産後ママの身体の回復を促進する働きがあります。母乳育児でなくとも自然と回復しますが、母乳育児の方が回復が早まるとされています。というのも、赤ちゃんに母乳を吸われることで「オキシトシン」というホルモンが分泌され、子宮の筋肉を収縮させて、子宮の回復を早めてくれるんです。
よく「母乳育児は赤ちゃんに良い」と言われますが、赤ちゃんだけではなく、ママの身体の回復のためにもオススメと言えるでしょう。

【7】清潔を心がける

出産で体力が低下し免疫力も落ちているため、産後しばらくは感染症や病気にかかりやすい状態になっています。しかも産後は、発汗しやすかったり、悪露によって清潔が保たれにくくなっていますので、意識的に清潔を心がけたいです。
ちなみに、産後1ヵ月は入浴せず、シャワーのみで済ませることが大切。湯船に浸かると、お腹の傷から細菌が入ってきやすいからです。寒い季節の出産だと、湯船に浸かって身体を温めたいところですが、1ヵ月検診で先生に診てもらってOKが出てからにしましょう。

【8】目を酷使しないように

昔から「産後は目を使わない方が良い」と言い伝えられていますが、単なる迷信ではありません。妊娠中は身体が水分を溜めこむので浮腫みやすい時期で、産後もしばらくは浮腫みが続きます。そして、目の粘膜も浮腫むために、目に負担がかかりやすく、目を酷使することで頭痛や肩こりになりやすいそうです。

また「“目の疲れ”は“肝(肝臓)の疲れ”につながる」と言われており、目を酷使することで、解毒の働きのある肝臓も疲れてしまうとのこと。「肝臓の解毒力ダウン→回復力ダウン」とも言えるでしょう。さらに、スマホの画面などを見過ぎていると、交感神経が活発になり脳が興奮状態になりやすいです。すると、「育児の合間にちょっと仮眠しよう」と思った時にすぐに眠れなくなり、効率よく身体を休めることができなくなってしまいます。
こういった事から、産褥期はスマホやパソコンを多用するなどで、目を酷使しないように注意しましょう。

などなど、産褥期の母体の回復を早めるために、是非実践していただけたら嬉しいです。

産褥期の母体のことを、パパに理解してもらう努力も必要!

産褥期は安静が第一で、家事はほどほどにすることが大切です。ただ、産褥期の母体のことをパパが理解していないと、「もっとしっかり家事してよ」「楽したいだけでしょ」などと思われるかもしれません。

ですので、家事や育児をパパに協力してもらったり、家事代行やヘルパーさんを利用したりするために、まずは「母体のことをパパに理解してもらうこと」が大切です。

実は、パパはママの事を良く分かっていないことがほとんどです。「産後クライシスの原因や12の克服法まとめ」の記事でも…

男性は「妊娠中の大変さ」「育児の苦労」「産後の身体の不調」のことなどに疎い生き物です。妻の立場からすると「そのくらい言わなくても分かるでしょ!」「察してよ!」と思うような事でも、夫の立場からすると「言葉にしてもらわないと分からない!」なのです。

と書きましたが、パパは本当によく分かっていないので、「産後の骨盤はグラグラになる」「精神的に不安定になりやすい」などママの身体のことを理解してもらう努力が必要と言えるでしょう。パパに説明する時も「産後は骨盤の筋肉・靭帯が緩んでグラグラで不安定だから、産後2ヵ月くらいは重たいものは持てないの。だから力仕事はお願いね」など、理屈で説明すると伝わりやすいです。

妊娠線(にんしんせん)のケアは継続して

妊娠中にオイルやクリームで妊娠線ケアをしているママが多いですが、それでも妊娠線ができてしまう人が多いようです。できてしまった妊娠線は完全に元通りにはなりませんが、目立たなくすることは可能です。

下の図のように、時間の経過とともに妊娠線も目立たなくなるものですが、回復を手助け&早めるためにも、妊娠線ケアの継続が大切とされています。

やることは妊娠中の妊娠線ケアと同じで、基本的にはオイルやクリームで保湿してあげること。欲を言えば、肌に栄養を与えるような成分が配合されている方が望ましいです。中には、美容成分がたっぷり配合された「できてしまった妊娠線ケア専用クリーム」もあります。

妊娠中に使用していたオイルやクリームがあれば、産後もそれを使用していただいて…、もし新しく購入する場合は、このような専用クリームも検討すると良いでしょう。
おすすめの妊娠線クリームの情報は次の記事をご参照ください。

また、適度に運動することもオススメです。運動することで「身体の代謝がアップ→血流がよくなる→皮膚が活性化されやすくなる」という好循環が生まれ、その結果、妊娠線も目立たなくなるということ。産褥期は医師の確認のもとに、産褥体操から始めましょう。

まとめ

以上、産褥期のママの身体のことや、過ごし方ポイント、その他、注意点など説明させていただきました。産褥期が母体の回復にとっていかに大切な時期で、いかに安静に過ごすこと大切かを分かっていただけたでしょう。

核家族で周りに頼る人がいないと家事も育児も頑張り過ぎてしまうママが多いですが、パパに協力してもらったり、ヘルパーさんや家事代行などのサービスを利用したりして、なるべく身体を休めるように心がけたいですね。

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