母乳育児のメリット・デメリットは?母乳にいい食べ物4選&控えて欲しい食べ物5選
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赤ちゃんを出産して、はじめにぶつかる壁の1つが母乳なのではないでしょうか。
「上手に母乳やミルクをあげられない」「抱っこの仕方はこれで合っている?」など母乳に関しての悩みは数え切れないほどあります。食べるものや薬なども気をつけたいところ。
今回は完ミと完母を経験した弊社スタッフの体験談を参考に、母乳育児のメリット・デメリット、母乳に良い食事や控えるべき食事、母乳の上手なあげ方などなど、母乳育児のアレコレを解説します。
母乳育児のメリット・デメリットは何?
母乳育児は母子のスキンシップができるだけでなく、赤ちゃんに必要な栄養をしっかり与えれることから、とても推進されている授乳法の一つです。そんな母乳育児にデメリットはあるのでしょうか?
母乳育児のメリットとデメリットを両方ご紹介します。
母乳育児のメリット
ママから見た母乳育児のメリット
- 1.完全母乳には「ミルクを作る手間がない」「ミルク代がかからない」といったメリットがあります。
- 2.母乳を赤ちゃんにあげるときにオキシトシンというホルモンが分泌され、子宮の収縮を促進させ悪露の排泄を促すことから、「産後の回復が早くなる」というメリットもあります。
- 3.エストロゲンというホルモンの分泌を抑える働きがあることから、「乳がん、卵巣がん、子宮がんが発症しにくくなる」といわれています。
- 4.産後ダイエットにとても効果があります。母乳は血液から作られているのはみなさんご存知ですよね?
しかし母乳を作る際に血液を使いすぎてしまうと、血液中の成分が減少しママに悪影響を及ぼすことがあります。そうならないために、ママの身体にある脂肪や養分から血液を作るようになり、体重は徐々に減少し産後ダイエットに繋がる、ということです。
赤ちゃんから見た母乳育児のメリット
- 1.母乳を与えることで赤ちゃんは顎を動かし顔面の筋肉も使うため、顔の筋肉が適度に発達しSIDS(乳幼児突然死症候群)が起こりにくくなるそうです。母乳が出ない場合でも乳首を吸わせるだけで効果はあるとのこと。
- 2.母乳を通してアレルギー予防に繋がることや、母体が食べた食事の匂いや味を赤ちゃんが覚えることができ食育になるようです。
- 3.母乳から免疫細胞がもらえるので体調を崩しにくくなります。ユニセフの発表では、6ヶ月以上母乳のみで育った子と人工ミルクだけの子を比べると、肺炎の罹患率が30倍違ったとのこと。
- 4.これは両方から見たメリットですが、母乳を上げるということは肌同士を密着させるので、赤ちゃんとママが安心感を得ることが出来ます。愛着形成が進むだけでなくママのマタニティブルー軽減にも役立つでしょう。
母乳育児のデメリット
- 1.ビタミンD不足です。実は母乳はミルクよりもビタミンDの含有量が少ないと言われています。ビタミンDを不足してしまうと足がO脚になってしまう「くる病」や、頭蓋骨が柔らかくなってしまう「ビタミンD欠乏性低カルシウム血症」になる確率が上がってきます。
- ビタミンDが不足してしまう一番の理由は日光浴不足。紫外線を浴びることで血液中のビタミンDは生成されるのですが、日焼け止めなどが原因で日本人の多くがビタミンD不足と言われています。栄養バランスを考えながらビタミンDを多く含む食材を使って食事をすることや、日光浴をすることでビタミンDを生成するなどが、母子ともに大切なことだと言えます。
- 2.飲んでいる量がわからないため、子供がどれだけ飲んだかわからないこと。乳児の体重計であるベビースケールがあれば、授乳前後の体重を計ることで飲んだ量をチェックすることはできますが、購入料金や手間がかかるという負担もあるでしょう。
- 3.乳首のトラブルや乳腺炎などのトラブルの確率がアップする。
- 4.完全に母乳育児にする場合、他人に長時間子供を預けることが出来なくなる。
以上のように、母乳育児にはメリットばかりと思いきや、少なからずこのようなデメリットもあります。
母乳の飲ませ方!こうすれば上手に飲める・あげられる!
「母乳をうまく飲ませてあげられない!」という悩みを抱えるママも多いです。新生児の赤ちゃんがいるママは、母乳をうまく飲ませてあげられないと、気持ちが落ち込んでしまいますよね。
母乳をあげる際に大切なのは、くわえさせ方や抱っこの仕方です。母乳をあげられないことで乳腺炎になってしまうと大変なので、ココでしっかり覚えておきましょう。
<ステップ1>準備
まずはしっかり手を洗い清潔な状態にしましょう。口から出た母乳などをふいてあげられるようにガーゼを何枚か用意しておくと便利です。
髪の毛は邪魔なようなら縛り、乳首がブラジャーの繊維や母乳などで汚れている場合は、ガーゼなど肌に優しい布で拭き取ります。この時アルコールなどを使用すると乳首が荒れてしまう可能性があるのでぬるま湯などで十分です。
<ステップ2>授乳がしやすいようにしましょう
クッションなどを準備しておくとママの姿勢も楽になりますし、赤ちゃんも母乳が飲みやすくなるのではじめのうちはオススメです。
慣れてくるとクッションがなくても授乳できるようになります。背もたれや肘掛けの椅子を用意するとママも楽な姿勢で授乳できますよ。
<ステップ3>抱っこの仕方
毎回同じ抱っこの姿勢だと、どうしても母乳が残ってしまう箇所が出てきます。そうして残った母乳は古くなり、どんどん溜まっていってしまうため乳腺炎に繋がるのです。
同じ姿勢で授乳するのでなく、様々な姿勢で授乳することで母乳の飲み残しを防ぐことができ、乳腺炎や母乳不足の予防に繋がります。
抱っこの種類は全部で4つです。
(画像出典:おっぱいの飲ませ方 – さく山さんの母乳育児講座)
・横抱き
身体を安定させやすい一般的な授乳姿勢です。赤ちゃんの頭の下に腕を入れ乳首の位置まで誘導します。もう一方の手はおしりや背中などを支えましょう。赤ちゃんの身体全体をママの方に向けて授乳すると赤ちゃんが母乳を飲みやすいです。
・縦抱き
赤ちゃんを起こしお母さんの足に座らせるような間隔で母乳を飲ませます。乳輪まで咥えやすい姿勢なので、乳首が短いママにおすすめの授乳方法です。首が座っていない赤ちゃんの場合は、しっかり首を持ってあげるようにしましょう。ママのお腹と赤ちゃんのお腹をくっつけると授乳しやすいです。
・ラグビー抱き(脇抱き)
赤ちゃんを脇に抱えて授乳する授乳方法です。双子の赤ちゃんがいるママは両方同時に授乳することが出来ておすすめです。
・添い乳
赤ちゃんとママが横になった状態で向かい合い授乳するスタイルです。夜間授乳やママが疲れているときなどにおすすめです。しかし、この姿勢は授乳後のゲップが出にくい姿勢なので、どうしてもゲップが出ない場合はしっかり座ってゲップさせなければいけません。
<ステップ4>授乳する
赤ちゃんの口を乳輪までしっかり咥えさせるのがポイントです。乳頭だけしか咥えていない状態だと母乳は出てきません。また乳頭だけしか咥えていない状態だと、ママの乳首も傷が付いてしまうので危険です。しっかり咥えさせるようにしましょう。
その際、赤ちゃんの顔や身体がおっぱいとしっかり平行になっていると、より母乳は出やすく飲みやすくなります。赤ちゃんが顎をゆっくり動かしてごくごく飲んでいるようならOK。おっぱいの出も良くなりますよ!
おっぱいを交換するタイミングですが、母乳の出が悪くなってくると、あかちゃんの顎の動きがゆっくりになったり止まったりします。その時が交換のサインです。
しかし、新生児の場合はおっぱいの出がいいと、最後まで母乳を飲んでしまうとお腹がいっぱいになってしまい、もう一方のおっぱいが飲めない可能性があります。そうなってしまうと片方だけ張った状態になってしまうので、予防法として片乳5分位を目安に授乳すると良いようです。
<ステップ5>ゲップさせる
おっぱいを外す際に引っ張って外すと乳首の傷の原因になってしまうので、口と乳首の間に指を入れて外すようにしましょう。赤ちゃんを縦抱きにし、肩にもたれかかるようにさせながら背中を軽く叩いたりさすってあげたりするのが一般的なやり方です。
その他にも、膝の上に横に座らせ腕で胸やお腹に少し圧をかけながら軽く叩いたりしてあげてもゲップは出やすいです。ゲップをさせてあげないと母乳が逆流してくることがあるのでゲップはさせましょう。
また、お腹に空気がたまり苦しい状態になってしまうので、赤ちゃんの機嫌が悪くなる場合があります。どうしてもゲップが出ない場合は、逆流してきても窒息しないように横向きに寝かすといいでしょう。
げっぷについてのオススメは記事はこちら→赤ちゃん・新生児のげっぷの出し方!抱き方やげっぷが出ない時の対処法
母乳育児におけるママの食事管理について
母乳は赤ちゃん自身が食事をするようになるまでは、大切な赤ちゃんの栄養源になるということもあり、自分が食べたものが母乳に影響があるのではないかと、授乳中は食事に関して気を遣いますよね。
何を食べていいか、母乳に影響する食べ物はあるのかなど様々な疑問があるでしょう。
まず、母乳育児でとても大切なのが栄養バランスと水分補給です。
授乳中は1日に2,000cal~2,600calほどが必要で、それらは主食、主菜、副菜、乳製品と食材や味付けをバランスよく組み合わせカロリー摂取する必要があります。そうすることで血液の質が高まり、赤ちゃんにより良い栄養を送ることができるのです。
また、母乳は水分なのでしっかり水分補給をしないと、脱水症状や母乳が出なくなってしまう原因に繋がります。
スタッフ体験談↓
二人目出産後、子供を完全母乳で育てていた私ですが、ふと「あれ、今日トイレ行ったかな…?」なんてことが何度もあり、調べてみると脱水症状の危険性があったのです。
もちろんその時は母乳の出も悪かったと思います。水分の多い食材を取ることや水を毎日2Lほど飲むことで、母乳不足や脱水症状は真逃れ、卒乳までしっかり完全母乳で育てることが出来ました。
このように母乳育児中は水分不足に気をつける必要がありそうです。
それでは、どのような食べ物が母乳に良いとされているのでしょうか。母乳に良いもの、母乳に悪影響があるものそれぞれ見ていきましょう。
母乳にいい影響を与える食べ物4選
■白米
白米は母乳にとって欠かせない食材で、身体のエネルギーになる炭水化物が原料になっています。妊娠中太ってしまったからといって、白米や炭水化物を抜いてしまうと低血糖になる恐れがあるので、最低でも1日茶碗1杯は食べるようにしましょう。
■大根やごぼうなどの根菜類
野菜は水分量が多く、脱水症状や母乳不足の予防になるだけでなく、母乳をサラサラにする働きをするので赤ちゃんにとって飲みやすい母乳になるでしょう。また、大根やごぼうなどの根菜類は身体を温め血行促進に効果があるため、授乳中は積極的に食べるといいです。
■低脂肪の肉、魚
タンパク質や脂質は身体をつくるのに大事な栄養素で、血液の栄養分としてもとてもいい影響を与えてくれます。脂肪分の多いお肉は血液をドロドロにし質の悪い母乳を作ってしまうため、タンパク質や脂質を取る場合は脂肪分の少ない鶏胸肉やささみ、白身魚などがオススメです。
また、魚はカルシウムやDHA、タンパク質、不足しがちのビタミンDなどが豊富に含まれているので、赤ちゃんにとってもママにとっても身体を作る食材として大切な食材だと言えます。
■水分の多いメニュー
鍋や味噌汁など水分を多く含むメニューは、身体に必要な水分量を食事を取りながら簡単に摂取することができるのでオススメです。暖かい汁物で具を根菜類にすると、身体が温まり母乳にいい影響を与えてくれます。
グリーンスムージーなどもバランスの良く栄養を摂取するために有効です。
授乳中は控えたほうが良い食べ物5選
■アルコール
アルコールは飲んでから30分から1時間ほどで、血液中の濃度を急激に上昇させる働きをします。赤ちゃんは大人と違い肝臓の作りが未熟のため、アルコールを分解する働きがうまくありません。
また、脳への影響も受けやすいため、神経細胞などが麻痺してしまう可能性があるのです。授乳中のアルコール摂取は控えるようにしましょう。
■カフェイン
カフェインを摂取すると赤ちゃんが
- 寝付きが悪くなる
- 機嫌が悪くなる
- 情緒が安定しない
などさまざまな影響があります。
それは赤ちゃんがカフェインに対して敏感に反応してしまうことが原因です。カフェインが含まれる飲み物を一日1杯ほど飲むだけなら影響はないかもしれませんが、赤ちゃんがいつもと様子が違うようでしたらカフェインの摂取は控えたほうが良いでしょう。
■餅やもち米
もち米は母乳を生成しやすくなるのでおっぱいの出が良くなる、という話を聞いたことがあるでしょうか?以前は母乳にいい食材として知られていたお餅やもち米ですが、現在では高カロリーや乳腺炎の原因になるという説もあります。
もち米を食べると母乳を多く作ることは確かですが、粘度の高い母乳になってしまいおっぱいが張ってしまったり乳腺炎になってしまったりするそうです。母乳の出が悪い人やおっぱいが張りにくい人は食べても問題ないそうですが、元から母乳がたくさん出る方や乳腺炎になりやすい人は控えたほうが良いかもしれません。
■体を冷やす食べ物
身体を冷やす食べ物で代表的な食材は「生野菜」です。授乳中に身体を冷やすと血液の循環が悪くなり、母乳の質が落ちたり、母乳の出が悪くなったりする原因になります。野菜は蒸し野菜や温野菜にするよう心がけ、身体を冷やす夏野菜ではなく、大根やごぼうなどの根菜類を食べるようにしましょう。
■脂肪分の多いメニューや辛いメニュー
タンパク質や脂質は身体や血液を作る大事な栄養素の一つですが、脂質が多い食べ物は血液がドロドロになり、母乳の質を悪くする原因に繋がります。また、唐辛子などの辛い食材が含まれる食べ物や、にんにくやパクチーなど香りに特徴がある食材は、母乳に香りや味が出やすいため、赤ちゃんが母乳を飲まなくなる可能性があります。
授乳はママと赤ちゃんの共同作業!二人に合う母乳育児を見つけ出そう
母乳育児にはメリットしか無いと思っているママもいますが、デメリットもあり、特にビタミンDの不足が深刻なようです。ママが食べる食事はビタミンDを多く含んだアーモンドや魚系を積極的に取り入れると良いでしょう。
また、授乳法ですが、はじめのうちはまだ慣れない抱き方や乳首の吸わせ方で焦ってしまうかもしれませんが、少しずつ慣れていけばいつの間にかママも赤ちゃんもリラックスした授乳時間を味わえると思います。
「乳輪までしっかり咥えさせる」「赤ちゃんと乳首は平行に」これはとても大切なポイントですので、ゆっくり時間をかけて慣れていきましょう。
乳首の形などで授乳が難しい際は、搾乳機などで母乳を絞り哺乳瓶で飲ませるという授乳法もあります。
ひとりひとり授乳方法も違い、模範解答なんて育児には存在しません。ママと赤ちゃんのスタイルで授乳方法を考えていくことが大事です。
弊社スタッフは子供が二人いますが、一人目は完全ミルクで育て二人目は完全母乳で育てたそうです。一人目は不安やストレス、水分不足などで母乳の出が悪かったのでミルクに切り替え、二人目のときは育児にも慣れストレスもあまりなかったため、母乳がたくさん出たのとのこと。今では、二人とも健康に、同じようにすくすく育っています。
このように「母乳だからいい子で健康な子になる」なんてことはなく、どんな子でも母親の愛情で元気に育ちますから、考え方を柔軟にして育児を楽しみましょう。
ミルクも利用する場合は次の記事をご参照ください。