妊婦は頭痛になりやすい!?妊娠中の頭痛の原因&対策法まとめ
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妊婦さんの悩みとしてよくある症状の1つが「頭痛」です。頭痛は妊娠初期から臨月まで、全期的に多い症状でもあります。
今回はそんな妊娠中の頭痛について、「知っておくべき頭痛の種類」「妊婦さんが頭痛になる原因」「対策法・治し方」「頭痛と妊娠高血圧症候群について」「頭痛薬の可否」など詳しく解説していきます。(妊娠初期の頭痛に特化した記事はこちら→妊娠(超)初期症状の頭痛の原因や対処法は?)
必須知識!妊娠中に多い頭痛の種類2パターンとは?
頭痛にはいろいろなタイプの頭痛がありますが、妊娠中に多い頭痛の種類は主に次の2パターンがあります。
片(偏)頭痛(へんずつう)
片頭痛の特徴は、頭の片側ズキンズキンという脈打つような痛みがあることです。痛みは頭の片側のみに起こることが多いですが、両側で起こることもあります。
症状として、吐き気がする、胃がムカムカする、光や音やにおいに敏感になるなど、頭痛以外の症状を伴うことも多いです。身体を動かすことで頭に響いてしまい、症状がさらにひどくなる傾向もあります。
緊張型頭痛(きんちょうがたずつう)
緊張型頭痛の特徴は、後頭部を中心として頭全体がギューーッと締めつけられるような重い痛みがあることです。肩・首のこりや、軽いめまいを伴うこともあります。年齢や性別を問わず、誰にでもみられる頭痛です。
妊娠中の頭痛は主にこの2パターンで、片頭痛と緊張型頭痛が併発していることもあります。
妊婦さんが頭痛になる原因。妊娠初期、中期、後期、臨月で違う?
妊婦さんの頭痛として「片頭痛」「緊張型頭痛」の2パターンがありますが、それぞれ原因が異なりますので説明していきます。
片頭痛の原因は?
女性ホルモンのバランスの変化
妊婦さんならではの片頭痛の原因の1つが、ホルモンバランスの大きな変化です。片頭痛については女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)が関わってるとされています。妊娠するとエストロゲンが増加しますが、血管を拡張する働きがあり、頭蓋骨内の血管も広がって炎症を起こすために頭痛が起こると考えられています。
(※妊娠すると女性ホルモンの分泌量が高値で安定するので、「妊娠したら頭痛がなくなった」という人もいます。)
食欲不振による低血糖
これは妊娠初期によくありますが、つわりの影響で思うように食べられず、血糖値が下がってしまい、それによって頭痛が起こることもあります。
睡眠不足や寝過ぎ
睡眠不足だったり、逆に寝過ぎの場合も、偏頭痛を引き起こす原因となります。睡眠の過不足がホルモン分泌などに作用するため、と考えられています。自分に合った適切な睡眠時間をとる必要があるでしょう。
鉄分不足
鉄分が足りなくなると頭部への酸素供給が円滑に行われなくなり、酸素を少しでも多く取り入れようとして、血管が拡張するために頭痛が起こることもあります。
妊娠中の鉄分の推奨摂取量は「妊娠初期:1日8.5~9.0mg」「中期~後期:1日21.0~21.5mg」ですが、20代・30代の女性は「1日6.5mg」程度しか摂れていません。妊娠中は常に鉄分不足の状態になりやすいですから、意識して鉄分を多く摂取する必要があります。
緊張型頭痛の原因は?
緊張型頭痛は「ストレス頭痛」とも呼ばれており、精神的なストレス・身体的なストレスが原因となりやすいです。(「ストレス」は片頭痛の原因でもありますが、今回はこちらに分類しました。)
身体的なストレス
首・肩・背中・頭などの筋肉が緊張することで、筋肉の中の血流が悪くなってしまい、筋肉に乳酸などの老廃物がたまります。それが周囲の神経を刺激することで、緊張型頭痛を起こすのです。妊婦さんの筋肉が緊張する原因は、次のようなものが考えられます。
- 長時間のデスクワークなどで同じ姿勢をキープすることで、首肩の筋肉がこってしまう。働く妊婦さんにアルアルでしょう。
- 妊娠中期以降、お腹が大きくなるにつれて、反り腰の姿勢(不自然な姿勢)になり全身がこりやすくなる。
- 乳房がどんどん大きくなって、肩への負担が増すことで、肩こりになりやすい。
- つわりだったり、お腹が大きくなったりで運動不足になり身体の血行が悪くなる。
- スマホの画面を長時間見ているなど、目の使いすぎ、目の疲れ。
精神的なストレス
精神的なストレスによって自律神経が乱れてしまい、緊張してしまうことで血管が収縮して筋肉を固くしてしまうことも。ストレスによる緊張状態が長期的に続くと、痛みをコントローする機能が正常に働かなくなり、筋肉が緊張していなくても頭痛を引き起こすこともあります。妊婦さんのストレスの原因は、次のようなものが考えられます。
- 初期のころは、妊娠したことによる不安やストレス。
- 後期~臨月は、出産にたいする不安やストレス。
- 夫と上手くいかないなどの、家庭内トラブルによるストレス。
- 妊娠への理解のない上司がいるなどの、職場のトラブルによるストレス。
以上のように、妊婦さんが頭痛になる原因は様々で、これらの原因をなる要素を取りのぞいていくことが頭痛対策・予防法となってきます。
妊娠中の頭痛はいつからいつまで?
妊娠中の頭痛が「いつから始まり、いつまで続くのか?」気になっている人が多いようですが、これには個人差があります。
上記の原因を見て分るように、妊娠初期・中期・後期・臨月と、それぞれ頭痛となる原因はありますから、初期から臨月までずっと頭痛が続く人もいます。
特にもともと頭痛持ちの妊婦さんは、妊娠してからも継続しやすいので、次に紹介する対策方法などを実践して、少しでも頭痛の症状を和らげていただけたらと思います。
妊娠中の頭痛対策・治し方11のポイント
妊娠中の頭痛対策・予防法・治し方として、次の11個をご紹介します。
片頭痛の場合の対処法
【1】頭部を冷やす
片頭痛は血管の拡張によって痛みがでるので、こめかみを中心に痛む箇所を冷やしてあげましょう。冷やしたタオル、冷えるジェルシート、アイスノンなど、冷やすグッズはいろいろあります。氷まくらなどを使用して、横になるのもオススメです。
【2】部屋を暗くして安静にする
片頭痛のときは光や音に敏感になりやすいので、部屋を暗くし、静かにして、安静にすると良いです。できれば横になって仮眠することで、拡張した血管も収縮しやすくなります。横になれない場合は、静かに座っているだけでも効果は期待できます。
【3】カフェインを摂取する
コーヒーや緑茶などに含まれるカフェインには血管収縮作用があるので、片頭痛の症状を抑える効果が期待できます。基本的に「妊娠中はカフェインNG」とされていますが、1日あたりの摂取量に気をつければ問題ありません。もちろん摂取しないにこしたことはありませんが、もしカフェイン摂取によって頭痛が和らぐなら、適度に摂取した方がストレス軽減になって良いでしょう。
【4】鉄分を摂取する
鉄分には肉や魚などに含まれる「ヘム鉄」と、野菜や海藻類などに含まれる「非ヘム鉄」の2種類がありますので、両方をバランス良く摂ると良いでしょう。特にレバーには鉄分が豊富に含まれています。ただ、レバーには、過剰摂取で胎児に悪影響のあるビタミンAも豊富に含まれているので、適度に食事に取り入れて欲しいです。他にも、牡蠣、牛肉、まぐろ、あさり、しじみ、大豆、小松菜、ほうれん草、高野豆腐、納豆なども鉄分が多いです。
【5】マグネシウムとビタミンB2を摂取する
マグネシウムには神経の働きを安定させる働きがあります。また、片頭痛の人は、細胞内のミトコンドリアの働きが悪いケースが多いとされており、働きを良くする作用のあるビタミンB2の摂取もオススメ。
マグネシウムの多い食品~米、玄米、納豆、みそ、まぐろ、ひじき、のりなど。
ビタミンB2の多い食品~レバー、卵、大豆、葉野菜、乳製品など。
(※レバーはビタミンAが豊富に含まれており、摂取量によっては胎児に悪影響があるので要注意です。詳しくはこちら→妊婦さん要注意!妊娠中NGの食べ物&飲み物11品目まとめ)
【6】適度な睡眠時間にする
睡眠の過不足はどちらも片頭痛の原因となるので、あなたにとっての適度な睡眠時間をとることが大切です。「妊婦の理想的な睡眠は1日7~8時間」で、体内時計のコアタイムが24~6時と考えられているので、23~7時のあたりで7~8時間の睡眠をとると良いでしょう。(参照:news.mynavi.jp)そのためにも、寝る数時間前からPCやスマホを見ないようにし、目や脳を休めて、睡眠の質を高めたいところです。
緊張型頭痛の場合の対処法
【7】筋肉を温める、筋肉のこりをほぐす
緊張型頭痛は、肩・首・頭などの筋肉の緊張し、血行不良になり、老廃物が溜まることが原因となりますので、緊張して硬くなった筋肉を温めたり、ほぐしてあげると良いです。蒸しタオルやホットパックで温めたり、ゆっくりお風呂に入ってリラックスするのもオススメ。マッサージや鍼灸などで、プロの施術を受けるのも良いでしょう。
【8】長時間同じ姿勢をしない、こまめに休憩をはさむ
デスクワークをしている人だと、どうしても長時間同じ姿勢になってしまいがちです。首肩周りの筋肉が緊張しますし、目も疲れてしまいますから、お茶を飲んだり遠くを見つめたり、適度に休憩をはさむようにしましょう。座ったままの状態でできる「1日2分の頭痛予防体操」などもオススメです。
【9】適度な運動を心がける
緊張型頭痛の原因である身体のストレス・心のストレス、どちらにも効果的なのが適度な運動です。妊婦さんでもできる運動としては「ウォーキング、ヨガ、エアロビクス、スイミング」などが有名です。頭痛対策のみならず、肥満予防・熟睡できるようになる・便秘改善・むくみ改善・腰痛の改善などなど、妊娠中の運動にはたくさんのメリットがありますね。
片頭痛・緊張型頭痛のどちらにも有効な対処法
【10】リラックスできる時間を作る
ゆっくりとお風呂に入る、フットバス、アロマバス、アロマ芳香浴、アロママッサージ、音楽を聴く、散歩をする、趣味に没頭するなどなど、自分に合ったリラックス法を見つけましょう。妊娠中のアロマの利用法だったり、禁忌のアロマオイルなどについては、次の記事をご参照下さい。
【11】病院で診察を受ける
日常生活に支障が出るような痛みがある場合など、もしかしたら別の疾患が隠れているかもしれません。そんなときは我慢せず、担当の医師に相談してみましょう。妊娠中でも飲める鎮痛剤を処方してもらえる場合もあります。市販薬は安易に飲まないことをオススメします。
以上、妊娠中の頭痛対策を10個ご紹介しました。妊婦さんの頭痛の原因は人それぞれで、有効な対策法も人によって違いますので、あなたに合った対策法を探していただけたら幸いです。
妊娠中の頭痛、もしかしたら妊娠高血圧症候群かも?
妊娠高血圧症候群とは、妊娠20週~分娩後12週までに高血圧がみられる場合や、高血圧に蛋白尿を伴う場合に診断される病気です。
「この症状がでたら妊娠高血圧症候群」というような症状はありませんが、目安として次の症状があるようです。
- 高血圧
- 持続する強い頭痛
- 倦怠感やねむ気
- 目の前で花火が光るように感じる
- みぞおちのあたりが急に痛くなる
- 気分が悪くなって吐き気がする
- むくみ(浮腫)
頭痛もちゃんと含まれていますので、もし頭痛があって、他の症状も出ていたら妊娠高血圧症候群の可能性を疑ったほうが良いかもしれません。
妊娠高血圧症候群が重症化すると、子宮や胎盤での血液が流れにくくなって、赤ちゃんが栄養不足・酸素不足になってしまいます。その影響で「胎児発育不全」「低出生体重児」「低酸素症」「胎児機能不全」などを引き起こしたり、最悪の場合「子宮内胎児死亡」となる可能性もあります。
妊娠高血圧症候群の早期発見のためにも、妊婦健診は休まずに定期的に行くことが大切です。また、上記のような目安となる症状が出ていたら、早めに病院を受診しましょう。
頭痛のデータを記録して分析しよう!
妊娠中の頭痛に悩まされているなら、頭痛のデータを記録することをオススメします。というのも、頭痛の症状は人それぞれ個人差が大きいため、自分の頭痛を観察して知ることで、対策法も見つけやすくなるからです。
- どの時間帯に頭痛が起きたのか?
- どんな時に頭痛が起きたのか?
- どんな症状だったのか?
- どのくらいの時間続いたのか?
- 頭痛以外の症状はあったのか?
などなど、頭痛の症状をデータとして記録する習慣をつけましょう。
これによって、「●●したときにズキンズキンとする偏頭痛があった。」「偏頭痛かと思ってたけど、緊張型の頭痛の症状も出てた。」あなたの頭痛のパターンが見えてくるかもしれません。パターンが分かれば対策も立てやすくなりますし、病院で医師にデータを見せて相談することもできて便利でしょう。
妊娠中の頭痛に市販薬はNG?妊婦さんOKの薬はある?
妊娠中は頭痛薬に限らず、薬の服用には気をつけなければいけません。赤ちゃんに奇形を作る作用を「催奇性/催奇形性」といい、発育や機能に悪影響をする作用を「胎児毒性」といいます。
誰でも手に入れることができる市販薬には、 催奇性・胎児毒性の強い危険な薬はないという考えもありますが、安易に手を出さない方がよいでしょう。特に妊娠4週~7週は絶対過敏期で、胎児の重要な器官が形成される時期です。奇形を起こす可能性が最も高い時期なので、薬の服用には細心の注意が必要です。
頭痛の症状がひどい時には、受診して担当医に相談して処方してもらいましょう。産婦人科などの病院では「アセトアミノフェン」を主成分とした「カロナール」という頭痛薬が処方されることが多いです。
しかし、カロナールの添付文書(参照:ayumi-pharma.com)には・・・
(1)妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので,妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。
(2)妊娠後期の婦人への投与により胎児に動脈管収縮を起こすことがある。
と記載されてるので(2017年6月15日時点)、安全性は高いですが、できるかぎり薬に頼るのは控えたいところです。
まとめ
以上、妊娠中の頭痛について、「頭痛の種類」「頭痛の原因」「対策法・治し方」「妊娠高血圧症候群のこと」「頭痛薬のこと」などお話させていただきました。
頭痛とひとことで言っても、その症状には複数の種類がありますし、原因も人それぞれで違います。当然ながら対策方法も変わってきますので、あなた自身にあった対策法を探していただけたらと思います。
ご自身でいろいろ対策法を試してみて、症状が改善されないようだったら受診して、医師に頭痛薬を処方してもらいましょう。また、頭痛とともに次のような症状がでた場合・・・
- 高血圧
- 倦怠感やねむ気
- 目の前で花火が光るように感じる
- みぞおちのあたりが急に痛くなる
- 気分が悪くなって吐き気がする
- むくみ(浮腫)
妊娠高血圧症候群の可能性が疑われますから、その場合も早めに受診することをオススメします。
以上、頭痛でお悩みの妊婦さんのお役に立てたら幸いです。