ヘルパンギーナやプール熱、手足口病など子供の夏風邪の対処法や予防法
7月~9月に流行する「ヘルパンギーナ」「手足口病」「プール熱」。
これらを「3大夏風邪」といい、子供を持つご家庭では耳にしたことがある病名ではないでしょうか。これらの「夏風邪」は完治するのに5日~7日かかると言われており、感染力もとても強いです。
子供だけでなく、周りにも影響及ぼす「ヘルパンギーナ」「手足口病」「プール熱」の症状や対処・予防法、ホームケアの仕方など知らない人も多いと思うので、今回は詳しくご紹介していきます。
もくじ
3大夏風邪である「ヘルパンギーナ」「手足口病」「プール熱」の症状はどんなもの!?違いは?
ヘルパンギーナの症状
エンテロウイルスやコクサッキーウイルスが原因で発症する病気。急な発熱(38度~40度)があり、口の中に水疱ができるのが特徴です。口の中にできた水疱がひどく炎症し喉の痛みを伴うことがあり、食事を摂ることさえ困難で水分も取れない場合もあるそうです。
水分補給が大事な時期に発症する病気なので脱水症状になる危険性があり、点滴を受けるケースもあります。
ヘルパンギーナの原因菌の潜伏期間は2~6日間。発症後は2,3日高熱に悩まされ頭痛や吐き気などの症状の他に口内の上顎や咽頭部周辺に水疱が現れます。水疱が引くのは一週間程かかり水疱がなくなった後も二週間の間ウイルスが便に入っているため二次感染には要注意です。
またヘルパンギーナは子供だけでなく大人にも感染することがあり、その場合子供より重症化するようです。育児などで疲れがたまり免疫力が下がっているときなどに感染しやすいので注意するようにしましょう。
39度を超える高熱や倦怠感、関節痛、食欲低下などの症状が見られます。
手足口病の症状
4歳くらいまでの乳幼児を中心に発症するエンテロウイルス、エクサッキーウイルスが原因の病気。手のひら・足の裏・口周りに米粒大ほどの水疱が現れるのが特徴です。
体温は37~38度とさほど高い熱がでないので、水疱の現れる場所と発熱の有無でヘルパンギーナと区別している方も多いかと思います。
潜伏期間は3~6日間。発症後1~2日の間に手ひらや足の裏、口の周りに水疱が見られ、口の中が痛いことで食欲低下になり、水分も上手く摂取できないことがあるそうなので、注意が必要です。
お腹や背中にまで水疱が出る場合は「水疱瘡」なので自己判断をせず体に水疱がみられたら病院を受診するようにしましょう。ちなみに乳児が手足口病にかかった場合、おしりにも水疱が出るときもあるようです。
プール熱の症状
アデノウイルスが原因で発症する「プール熱」ですが、正しい病名は「咽頭結膜炎」といいます。口や鼻以外にも目からも感染してしまい、1人がかかると家族やクラスメイトがどんどん感染してしまうほどの感染力の強さです。
突然38~39度の高熱が3~5日続き、下がりにくいのが特徴です。また、ひどい咽頭炎で喉の痛みが強く食欲低下だけでなく、水分も取りづらいので脱水症状を起こす危険性があります。
ヘルパンギーナや手足口病と違い、目の充血や目にかゆみが出るといった結膜炎の症状がプール熱の最大の特徴と言えるでしょう。
潜伏期間は5~7日間。その後高熱、倦怠感、頭痛、喉の痛み、食欲不振、結膜炎などの症状が3~4日続きます。
経過としては熱が下がり、その後少しずつ喉の痛みも取れていくようです。しかし結膜炎の治りは遅く、目ヤニなどが気になり手で触ってしまうことや、子供が上手く目薬をさせないといった理由が結膜炎を長引かせる原因ではないでしょうか。
それぞれの症状の違い
手足口病 | ヘルパンギーナ | プール熱 | |
発熱 | なし | あり(38~39度) | あり(38~39度) |
水疱 | あり(手・足・口) | あり(喉の奥) | なし |
ウイルス | エンテロウイルス エクサッキーウイルス |
エンテロウイルス エクサッキーウイルス |
アデノウイルス |
症状 | 喉の痛み | 喉の痛み | 喉の痛み |
・ヘルパンギーナと手足口病はウイルスが一緒と言うこともあり水疱ができるという症状は似ていますが発熱の有無、水疱の出来る場所などで違いが分かると思います。
・プール熱は他の病気と違い水疱ができず、そのかわり目ヤニや目の充血、かゆみといった結膜炎の症状が現れるのでわかりやすいですね。
・喉の痛みが強いのはヘルパンギーナも手足口病もプール熱も共通しています。
3大夏風邪の感染経路は!?
三大夏風邪の主な感染経路は次の3つです。
・皮膚や粘膜を直接触ることや、タオルや手すりなどを感染者と間接的に触ることで感染する接触感染。
・おむつ交換や子供のトイレの始末などで生じる経口感染。
子供の感染率が高いのは、乳幼児が手や指を舐め、その手で触ったおもちゃを通して感染する場合が多いからだといえます。また三大夏風邪は一週間で症状が落ち着きますが、その後二週間は体内にウイルスが残り、感染経路が口から便に移動していきます。
トイレの後やオムツ替えのあとに、しっかり手を洗っていない状態でタオルを使用すると、タオルにウイルスが付着し、それを他の家族が使用することで二次感染につながるのです。
主に子供がかかる病気ですが、もちろん大人にも感染するので注意が必要です。プール熱の場合、塩素濃度が十分に管理されていないプールに感染者が入ってしまうことで被害が拡大してしまいます。
3大夏風邪にかからないために必要な4つの事!
①手洗いうがいをしっかりする
飛沫感染や接触感染、経口感染。どの感染経路でも予防になるのが手洗いうがいです。手についたバイキンや、口内に入ったウイルスを洗い流すためにも手洗いうがいは必須なのです。
②睡眠や食事など規則正しい生活を送る
睡眠時間が足りなかったり、疲れていたりすると免疫力が下がり夏風邪を引きやすくします。そうなってしまう理由として挙げられるのは、夏は日中だけでなく夜も暑いため睡眠の質が下がってしまうのが原因だと言えるでしょう。クーラーや扇風機、氷枕など上手く利用し、質の良い睡眠をとるよう心がけると免疫力もぐっとあがりますよ。
また、夏の暑さで食欲が落ちることで夏風邪にかかりやすくなってしまうので、栄養バランスをしっかり考えた食事を摂ることが大切です。
③人混みは避ける
人混みはウイルスが蔓延しやすいです。やむを得ず、人混みに行く際はしっかりマスクを着用し、こまめな手洗いうがいを心がけましょう。
④クーラーの冷えに注意
屋内と屋外の温度差がありすぎると体温調節が上手くできず免疫力が下がります。また、適度に汗をかくことは健康に良いことなので一日中クーラーの効いた屋内にいるよりは少し屋外に出て軽く汗を流すことがおすすめです。
また、クーラーの効いた部屋で寒いと感じたらカーディガンを羽織ったりや靴下をはいたりして対策を取りましょう。
ホームケアはどうすればいい?
夏風邪にかかってしまった場合、家ではどのような処置が必要なのでしょうか。発熱、水疱、喉の痛み、食事、家での二次感染予防法、登園の時期などをご紹介します。
発熱・水疱・喉の痛み
三大夏風邪は、ウイルスによる病気ということもあり、特効薬はありません。そのため安静第一です。
発熱でつらそうにしている小さな子供を見るのはとてもつらいですよね…。38度5分以上の高熱で、つらそうなときは解熱剤を服用しましょう。
また、脇の下や足の付根を冷やすといくらか楽になります。発熱の場合は体温調節が上手くできないので声掛けをしっかりするなどママのサポートが必要です。
手足口病の場合は手のひらや足の裏に水疱ができ、歩くことやものを触ることも辛い場合があります。痛みやかゆみがひどい場合は病院に受診することで抗炎症剤を処方してくれるそうです。
また、自宅にある市販のかゆみ止めでも水疱のかゆみを緩和してくれるそうですよ。
しかし、ステロイドを含む薬はウイルスを増やしてしまう危険性があるので注意が必要です。やはり病院を受診し、薬を処方してもらうのが一番かもしれませんね。応急処置としてかゆいところに冷たいタオルなどを当てても効果はあるようです。
三大夏風邪に共通する症状として喉の痛みがありますが、家で行える対処法として「うがい」が一番オススメです。ウイルスを洗い流す効果があり塩水を使うとより効果的でしょう。
食事について
ヘルパンギーナや手足口病、プール熱は共通して喉の痛みを強く感じる病気です。食事を摂ることはもちろん、水分を取ることも苦痛に感じる子供も多いため、水分や食事を与えるのに苦労するママさんも多いと思います。
しかし、脱水症状を起こす危険性があるため水分補給はしっかりさせる必要があります。水分を与える際は喉への刺激が強い柑橘系は避け、体内に吸収されやすいスポーツドリンクや水、アイス、ゼリーなどがおすすめです。食事は暖かいものより冷ましたおかゆなど、喉越しの良いものが食べやすいですよ。
家族に感染しないようにする予防法
まずはこまめな手洗いうがいを心がけましょう。おむつ交換の後の手洗いうがいも忘れずに。ゴム手袋を着用しても良いとおもいます。
また、感染者との接触感染を防ぐために、タオルや食器、箸などは共用しないようにします。タオルは一回ずつ交換すると良いかもしれませんね。
ドアノブや感染者が使用したおもちゃなどは消毒することで接触感染を予防することが出来るでしょう。コクサッキーウイルスはアルコールには強いのであまり効き目はありませんがエタノールには弱いので消毒する際はエタノールを使用するといいです。
飛沫感染予防としては家の中でも感染者と周りがマスクを使用します。唾液、鼻水だけでなく目ヤニなど感染者の分泌液から感染するので直接触れないようにしてくださいね。
ヘルパンギーナや手足口病、プール熱にかかってしまったら保育園はいつまで休ませる?
保育園に子供を預けるワーキングママは、夏風邪にかかってしまった子供のことももちろん心配ですが、いつから仕事に復帰できるかも気になるところ。個人差はありますが、ヘルパンギーナや手足口病、プール熱は7~10日で症状は徐々に良くなります。
ヘルパンギーナと手足口病は出席停止の対象外なので登園時期は自己判断です。症状が回復したあとなら登園してもいいという保育園や学校があるので、水疱が落ち着き、食事が取れるようになるまでは自宅で安静にさせましょう。
症状が落ち着くのは大体一週間程度と言われています。しかしウイルスは2週間~1ヶ月は体内に残っているので、その状態で登園・登校すると感染者が拡大してしまうので注意が必要です。
園や学校によって登園・登校の基準は違うので、保育園や学校に連絡し、登園できるか聞いてみるといいかもしれませんね。
そしてプール熱ですが、プール熱は出席停止対象の病気です。熱が下がり、喉の痛みや目ヤニ・目のかゆみといった結膜炎の症状が落ち着いてから2日経たないと登園・登校はできません。医師の診断を受けてから登園・登校するようにしましょう。
免疫力が高い、夏風邪に負けない身体を作ろう!
ヘルパンギーナ、手足口病、プール熱について詳しくご紹介しましたがいかがでしたか?
夏風邪にかからないために、生活習慣を見直し、十分な睡眠や栄養を取ることを心がけ、夏風邪に負けない免疫力の高い身体を作りましょう。というものの、どの病気も感染力が強いため十分な予防をして、二次感染を防ぐことが大切です。
そして、夏風邪にかかってしまった場合は、特効薬がないのでホームケアをしっかりしましょう。
夏休みや海、お祭り、プールなど夏は楽しいイベントが多く、人混みに行く機会も多いです。楽しいことが多いだけあって子どもたちの身体は夏の暑さも重なって疲れています。子供は疲れに鈍感なので周囲の大人たちが生活面や体調管理を十分注意してあげましょう。