突発性発疹はどんな病気?症状は?うつる?保育園は登園できる?
突発性発疹(とっぱつせいほっしん)という病名を知っていますか
比較的月齢の低い赤ちゃんがかかることが多い病気なので、名前は聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。突発性発疹は、お母さんからもらって生まれてきた免疫が低くなってきて、外などに外出する機会が増えるとかかりやすくなるため、生後6か月程度でかかる赤ちゃんが多いです。
そのため、赤ちゃんが始めてかかる病気が突発性発疹という人も多いんです。
そこで、突発性発疹とはどんな病気なのか、突発性発疹はうつる病気なのか、園児がかかったときは保育園に登園することが可能なのかなどについてご紹介します。
もくじ
突発性発疹ってどんな病気?
突発性発疹は、主に2歳児までの乳幼児によくみられるウイルスによる発疹性感染症のことをいいます。発症すると3~4日間39度以上の高熱が続き、熱が下がってくると体中に赤い発疹が現れるのが特徴です。母親からもらった免疫が弱まってくる生後6か月くらいから発症することが多く、突発性発疹を発症するおよそ99%が1歳までの乳児という報告があります。
原因は、ヒトヘルペスウイルス6型あるいは7型というウイルスが原因です。2種類のウイルスにそれぞれ感染してしまうこともあるので、2回突発性発疹を発症する可能性もあります。
主な感染原因と経路
産まれたばかりの赤ちゃんは母親から免疫をもらって生まれてきますが、生後6か月くらいになると母親からもらった免疫が低下してきます。生後6か月くらいになると、首もしっかりしてくるので外出する機会も増えますが、感染経路は外出時などではなく、主な感染経路は家族からだといわれています。
突発性発疹の原因となる主なウイルスはヒトヘルペスウイルス6型(HHV6)というウイルスです。このウイルスは、日本人の場合突発性発疹のかかりやすいといわれる年齢以上になっている人はほとんどの人が保持しているそうです。HHV6に一度感染すると潜伏感染状態になるため、症状は出ていない人でもウイルスを保持している状態になっていて、ウイルスが感染者の唾液の中に一定量含まれています。
そのため、母親からもらった免疫が低下して抵抗力が落ちている乳児が家族の唾液に含まれていたウイルスによって感染し、発症するといわれています。
一度感染すると体の中に抗体が作られるので、病気は正常な免疫でおさえられています。
そのほかのウイルスによる感染
そのほかの原因としてヒトヘルペスウイルス7型(HHV7)、エンテロウイルス、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルス1型なども突発性発疹の原因になることがあります。そのため、原因となる別のウイルスで突発性発疹に感染してしまうこともあります。
一度感染すると2度以上感染することがないということではなく、別のウイルスに感染した場合は2度以上発症する可能性があるといわれているのは、原因となるウイルスが1種類ではないためです。
突発性発疹の症状について
突発性発疹は、39度以上の高熱から始まることが多いです。乳幼児が突然高熱になるので、びっくりしてしまうことも多いのですが、高熱の割には赤ちゃんのご機嫌がそれほど悪くないこともあります。3~5日ほど高熱が続き、熱が下がると体中に赤い発疹ができてきます。
発疹は、1~2日で消えていきます。
高熱・発疹以外の症状が出ることも
突発性発疹は、39度以上の高熱が3~5日程度続いたあとに、体に発疹ができて1~2日程度で発疹が消えていくことが多い病気ですが、下痢などの症状が出る場合もあります。ただし、脱水症状を引き起こすような激しい下痢にはならないことが多いです。
まれに合併症として、熱性けいれん、脳炎、脳症、無菌性髄膜炎(むきんせいずいまくえん)、血小板減少などを引き起こすことがあります。
熱性けいれんを起こしたときの赤ちゃんの状態と対処法
突発性発疹が原因で赤ちゃんが熱性けいれんを起こした場合は以下のような状態になります。突然体が硬直して体がガタガタ震えだすので不安になることもあると思います。赤ちゃんが熱性けいれんを起こしたときは、パパやママがまず落ち着いて冷静に対処するようにしてください。
- 1.目が白目をむいた状態になり、全身がガクガク震え出します。
- 2.全身が硬直した状態になるため、手足にピンと力が入っているように見え、また全身が反り返ることもあります。
- 3.赤ちゃんが熱性けいれんを起こしたら、まずは落ち着いて衣服をゆるめ、衣服をゆるめ呼吸のしやすい体勢にしてあげましょう。舌を噛んでしまうのではないかと不安になり、割りばしなどを加えさせた方がいいと考えるかもしれませんが、危険なので絶対にやめてください。
- 4.2~3分すると自然に発作がおさまります。可能であれば、発作の時間や発作時の様子を記録しておきましょう。
- 5.すぐに発作がおさまったときは、あせらずに病院に受診してください。ただし、5分経過しても発作がおさまらないときや意識が戻らない場合は、救急車を呼んで急いで病院に向かうようにしてください。
熱性けいれんを起こしたときの対処法についてお医者さんが説明をしている動画がありましたので、ご紹介します。突発性発疹以外でも赤ちゃんが熱性けいれんを起こす可能性もあります。対応の仕方を覚えておくと冷静に対応することができるのでご覧になってみてください。
熱性けいれんの定義と対処法 明石市医師会
突発性発疹の治療はどうする?
突発性発疹は、自然治癒(しぜんちゆ)が期待できる病気なので、熱などで体がつらいようであれば解熱剤を使い、熱を下げる治療を行います。また、突発性発疹を発症した場合は、水分補給をしっかり行うことが大切です。
突発性発疹の予防は必要ない?
突発性発疹のウイルスは、日本人であればほとんどの人が保持しているといわれていて、自然治癒が期待できる病気のため、特に予防の必要がないといわれています。
突発性発疹にかかった疑いがあるときに注意することとは?
赤ちゃんの発熱に気が付いたら、まずは体温を計ってみましょう。赤ちゃんの機嫌がそれほど悪くなく、時間帯が深夜などの場合は、病院の受診は翌日でも問題ありません。ただし、以下のような症状がみられたときはすぐに医療機関に受診するようにしてください。
至急医療機関に受診をしたほうがいい症状
- 1.全身の状態が悪い
- 2.おしっこの色が濃く、量が少ない
- 3.呼吸状態が悪い、呼吸が苦しそうなとき
- 4.目に力がなく呼びかけに対して反応が弱い、ぼんやりしている
- 5.泣き止まない
- 6.耳を痛がるそぶりを見せる
- 7.首が硬直している
突発性発疹は、1歳未満の乳児がかかることが多い病気です。言葉をしゃべることができない赤ちゃんのときにかかることが多い病気なので、保護者が赤ちゃんの状態をよく観察して、普段とあきらかに症状が違う、おかしいと感じた場合はできるだけ早く医療機関に受診するようにしましょう。
ただし、熱以外は比較的元気なときは、解熱剤をすぐに使うのではなく水分補給をしっかりと行い、安静を保つようにしましょう。
突発性発疹と解熱剤の注意点!自己判断で安易に使ってはいけない理由とは?
突発性発疹は、いきなり39度以上の高熱が出るため、解熱剤を使いたくなることがありますね。しかし、解熱剤を使ってしまうと逆に症状が悪化してしまうこともあります。解熱剤に対して正しい知識を持ち、むやみに使わないように注意しましょう。
熱が出てもあわてない
子どもの熱は突然上がることも多く、また昼間は下がってもまた夕方になると急に高熱になることがあります。病院の診療時間が終わってしまっていると、どうしたらいいかわからず不安になってしまうことがありますね。子どもの熱は夕方から夜にかけて突然上がることがありますので、もし熱が出てしまってもあわてないことが大切です。
まずは、熱以外に心配な症状はないか全身を観察してみましょう。熱があってもおっぱいやミルクを飲んで比較的機嫌よくしているのであれば、あわてて夜中に病院に駆け込まなくても大丈夫です。
なんで熱が出るの?
熱が上がる原因は、自分を守るための自己防衛反応です。つまり、体の中に侵入したウイルスと戦うために体温を上がるように脳が指令を出している状態なのです。自分の体を守るために、体温を上げているのに、解熱剤を使ってしまうと、戦う力を弱めてしまうことになります。
子どもは、大人よりも体力がないので、ウイルスなどの細菌から体を守るために体温をあげることが多いです。大人より熱を出しやすい理由は、体力のない子どもにとって体温をあげる行為はウイルスや細菌から自分を守るための攻撃手段だということです。
小さいお子さんが高熱を出しているとつらいんじゃないかと心配になってしまいますが、大人のように熱でつらさを感じることはあまりないので心配しなくても大丈夫です。
高熱が出ると頭に異常が出てしまうことはないの?
赤ちゃんの高熱が続くと、頭に異常が起こってしまうのではないかと不安になってしまいますね。髄膜炎や脳炎は、高熱が原因で起こる病気ではありません。高熱が原因で頭に異常が出ることはないので心配しなくても大丈夫です。
解熱剤を使うと病気は治るの?
解熱剤を使っても、熱が下がるだけで病気そのものが治るわけではありません。発熱は、自分の体に侵入してしまったウイルスや細菌から自分の体を守るための攻撃をしている状態です。つまり、解熱剤を使って熱を下げるという行為は、攻撃を止めるということを意味しています。
攻撃をやめるということは、今よりもウイルスや細菌が自分の攻撃してくる可能性が高くなってしまい、熱を下げることで症状が悪化してしまう可能性があるということです。解熱剤を安易に使ってはいけないという理由はここにあります。
熱性けいれんは解熱剤で予防できるの?
高熱が出ると、けいれんを起こす熱性けいれんになることがあります。ですが、解熱剤を使っても熱性けいれんを予防できるわけではありません。解熱剤は、薬で熱を無理やり下げている状態なので、薬の効果が切れて一気に熱があがると逆に熱性けいれんをおこしやすくなることもあります。
熱が高いときは何に注意すればいい?
子どもの病気の重症度の高さは、熱の高さで決まるわけではありません。目に力がなく、ぼぉ~っとしていて視線が定まっていない、おもちゃなどを目の前に差し出されても目で追うことをしないときは、重症の状態になっている可能性があるといわれています。
まず、子どもに熱があると判断したときは、体温計で正確な体温を計ってみましょう。次に子どもの目を見て、目に力があるか、おもちゃなどをしっかり目で追うことができるかを確認してみましょう。目に力がなく、ぼぉ~としていて視線が定まらないときは、すぐに医療機関を受診しましょう。
ですが、目に力がありおっぱいやミルクもしっかり飲める状態なのであれば、まずは水分補給をしっかりおこないましょう。また、汗をかいている場合は拭き取ってあげて、安静にできる環境を整えてあげるようにしてください。
突発性発疹になったときは保育園に登園してもいい?
厚生労働省のガイドラインによると、突発性発疹を発症した場合、「解熱後1日以上経過していて、全身状態が良い場合」は登園が認められています。
ですが、解熱後1日程度の場合は、体に発疹が残っている状態のことも多いので、園によっては登園が許可されないこともあります。
保育園の登園に迷った場合は、通園している保育園に確認するようにしてください。
まとめ
突発性発疹は、乳児が最初にかかりやすい病気です。いきなり、39度以上の高熱が続くため不安になるママも多いです。ですが、突発性発疹は、自然治癒が期待できる病気で日本人であればほとんどの人が保持しているといわれているヒトヘルペスウイルス6型が原因となっていることが多いため特に予防法もありません。
子どもの発熱は、夕方から深夜にかけて熱が上がることが多いので、赤ちゃんが突然高い熱を出してしまってもあわてずに行動することが大切です。赤ちゃんの様子を観察し、目がしっかりしていて、おっぱいやミルクも飲めて、比較的元気にしているのであれば、深夜に慌てて病院に駆け込む必要はありません。
また、解熱剤には病気を治す効果はなく、安易に使ってしまうと病状を悪化させてしまうことがあります。赤ちゃんは、大人よりも熱に強いので保護者の自己判断で安易に解熱剤を使わないように注意しましょう。
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