葉酸の効果がスゴイ!妊娠したら葉酸を摂るべき12の理由
娠活中や妊娠中に「葉酸を摂取しましょう!」とよく言われますが、その理由をご存知でしょうか?
一般的に知られているのは「胎児の神経管閉鎖障害を予防するため」という理由で、これは母子健康手帳にも記載されているのでご存知の方も多いでしょう。
しかし、実は葉酸には他にも様々な効果があり、妊娠中も出産後もママ&赤ちゃんにとって重要な栄養素なんです。
今回は、そんな葉酸の驚くべき「12の効果」と、その効果から分かる「妊娠したら葉酸を摂るべき理由」について徹底解説します。この記事を読み終わる頃には、「葉酸ってスゴイ!」と思ってもらえること間違いありません。
もくじ
【其の一】胎児の神経管閉鎖障害の予防効果がある
これは妊婦さんが葉酸を摂るべき理由の、一番有名&重要なポイントでしょう。厚生労働省は、妊娠中の葉酸摂取によって「胎児の神経管閉鎖障害発症リスクを低減させることができる」と発表しています。
無脳症・二分脊椎・髄膜瘤などの先天性「神経管閉鎖障害」の発症リスクが、葉酸摂取によって低くなる事が数多くの研究で明らかにされているそうです。
日本では2000年に厚生労働省から、妊娠の可能性がある女性は通常の食事からの葉酸摂取に加えて、いわゆる栄養補助食品から1日400ugの葉酸を摂取するよう通知が出されました。(栄養補助食品というのは「サプリ」などのこと)
ちなみに、食事からの葉酸摂取量の基準は1日240ugで、これは“ほうれん草”など普段の食事から摂る量です。これに加えて1日400ugを葉酸サプリから摂取する必要があるいうこと。
ただ、ずっとプラス400ugの葉酸摂取が必要なのではなく、時期によって推奨摂取量に違いがあります。
・妊娠1ヶ月前~妊娠初期(妊娠1~3ヶ月)⇒プラス1日400ug
・妊娠中期・妊娠後期⇒プラス1日240ug
・授乳期⇒プラス1日100ug
このように、妊娠初期だけではなく、妊娠中・産後も葉酸を多めに摂取した方が良いとされています。期間については「妊娠初期だけじゃないの!?葉酸サプリはいつまで必要?」でさらに詳しく書きました。
【其の二】貧血(悪性貧血)の予防効果がある
葉酸はビタミンB群の一種で、ビタミンB12と共に赤血球の生成を助ける働きをしており「造血のビタミン」とも呼ばれ、貧血予防の働きがあります。
一般的に知られている貧血は鉄分不足による「鉄欠乏性貧血」がほとんど。葉酸とビタミンB12の不足による貧血は「悪性貧血(巨赤芽球性貧血)」と言います。
赤血球の寿命は約120日、体内では毎日新しい赤血球がつくられています。葉酸・ビタミンB12は補酵素として働き、赤血球のもととなる赤芽球の合成に関わっています。しかし、葉酸・ビタミンB12が不足すると、正常な赤芽球を作れず、正常な赤血球も作れず、貧血の原因になるというワケです。
ですので、葉酸とビタミンB12をしっかり摂取することで、この悪性貧血を予防することができます。
【其の三】流産を防止する働きがある
22週より前に妊娠が継続できなくなることを「流産」といいますが、実際には胎盤が形成される過程の12週(妊娠3か月)までに起こるケースがほとんどです。
流産の多くは、胎児の染色体異常・先天性異常がある場合の自然淘汰です。染色体異常の流産への葉酸の効果ははっきり分かりませんが…、先天性異常の流産に対して葉酸は予防効果があると分かっています。
先天性異常の流産とは…、胎児の脳・脊髄が正常に成長しないことから「無脳症・二分脊椎」などの先天性異常が生じ、流産に繋がってしまうというもの。その点で、葉酸は脳や脊髄の正常な成長を助け、先天性異常を防止する働きがありますから、このタイプの流産を防止する効果が期待できます。
また、母体側に「胎児を育てる準備が整っていない」ために起こる「化学流産」「稽留流産」がありますが、これらの流産に関しても…
・葉酸が子宮内膜を強化、受精卵を守る力を高める。
・葉酸摂取で子宮の血流UP、胎児の成長をサポートする。
という働きによってリスクを低くくすることが可能だと考えられています。
【其の四】子どもの自閉症リスクの低下に効果がある
ノルウェー公衆衛生研究所のPal Suren氏らによる研究により「妊娠開始4週間前から妊娠後8週までに葉酸を摂取した女性から生まれた子どもは、自閉性障害になる確率が低い」と分かったそうです。
1998年からノルウェーでは、妊娠開始の1ヶ月前から妊娠初期まで、毎日400ugの葉酸摂取を推奨しています。そこでこの研究では、「妊娠開始4週間前から妊娠後8週まで」の期間、葉酸を摂取していた女性のみを選んで、生まれた子どもの自閉症障害について調査したとのこと。
その結果、子どもが3歳の時点で「言語発達遅滞」の子が減少していることが明らかになりました。つまり、妊娠前後の葉酸摂取で、子どもが自閉性障害になる確率が低下するということです。子どもの成長の為にも、この期間に葉酸をしっかり摂ることをオススメします。
【其の五】つわり軽減に効果がある
つわりの原因には「ホルモンバランスの大変動」「胎児を異物と認識したアレルギー反応」「毒素の排除」などなど様々な理由がありますが、「ストレスによる自律神経の乱れ」で生じる場合もあります。
この場合の対処法は「メンタル面を安定させること」で、これによってつわりの原因の1つを減らす事ができます。そして、葉酸には「脳神経に関与して気持ちをリラックスさせる効果」もあるのです。
また、上で書いたように、葉酸には赤ちゃんの先天性異常や自閉症、流産のリスクを減らすなどの効果が期待できるので、飲んだことによる安心感がメンタル面の安定に繋がることも考えられます。つわり対策の1つとして、葉酸摂取はとても有効なことが分かって頂けるでしょう。
【其の六】母乳の出を良くし、栄養価を高める効果がある
「葉酸は妊娠中のみでいいんでしょ?」と思っているママさんもいるようですが、実はそれは勘違いで、授乳期にも葉酸摂取は必要です。
というのも、母乳はママの血液から作られており、葉酸はビタミンB12とともに「造血のビタミン」と呼ばれ、血液を作る大切な材料なのです。授乳中は母乳をたくさん作りださなければいけませんから、当然多くの血液が必要となるために、葉酸摂取も必須となります。
厚生労働相は食事からの葉酸摂取量の基準を1日240ugとしており、授乳期にはさらにプラス1日100ugを推奨しています。つまり、授乳期には1日340ug以上の葉酸摂取が必要ということです。
葉酸が不足すると「母乳の出が悪くなる」「質の悪い母乳になる」と言われていて、それを赤ちゃんが飲み続けた場合、「知力」「視力」「体型」など赤ちゃんの成長に影響を及ぼす恐れがあるそうです。
赤ちゃんの十分な栄養補給のためにも、授乳期には1日340ug以上の葉酸を摂取するようにしましょう。ちなみに、造血作用のある栄養素として有名な「鉄分」も不足がちになりやすいので、サプリを使う場合は鉄分入りの葉酸サプリがオススメです。
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【其の七】免疫力を高める効果がある
妊娠すると「ママの身体の免疫力が低下する」とよく言われています。食中毒に普段の20倍かかりやすくなる等の理由で、よく「妊婦さんは生ものは食べない方がいい」と言われたりしていますね。
そして、免疫力の中でも「細胞性免疫」が低下する、ということがわかっています。細胞性免疫が低下することで病気の原因菌などの排除ができなくなり、病気にかかりやすくなり重症化もしやすくなります。もし妊娠中に病気になった場合、胎児への負担が大きくなることもあるので、そもそも病気にならない様に免疫力を高めておきたいものです。
そして葉酸は、病気から体を守る「粘膜」「免疫細胞」を作る『タンパク質』の合成を促進する働きに関わっていて、葉酸摂取によって粘膜や免疫細胞を強化することができるのです。葉酸摂取⇒タンパク質⇒粘膜・免疫細胞⇒免疫力UP、ということで、妊娠中の葉酸摂取はとても大切なことが分かるでしょう。
【其の八】産後の子宮回復の促進効果がある
人間の身体は細胞分裂によって、毎日毎日新しい細胞へと生まれ変わっています。出産することで子宮はダメージを受けますが、細胞分裂によって徐々に回復していきます。
葉酸にはその細胞分裂を促進する働きがありますから、葉酸をしっかり摂取することで、産後の子宮ダメージの回復を促進してくれるんですね。
【其の九】産後の抜け毛対策に効果がある
産後によくある身体の不調の1つに「抜け毛」があります。妊娠すると女性ホルモンである「エストロゲン」「プロゲステロン」の分泌量が多くなり、妊娠を継続するための環境作りをしてくれます。これらの女性ホルモンには、他にも、「髪の毛の成長/肌に弾力やツヤ/精神安定」などの効果があります。
しかし出産すると、髪の毛の成長に関わっていた女性ホルモンの分泌量が減り、ホルモンバランスが大きく変わるため、産後の抜け毛へとつながってしまうのです。2~3ヶ月で通常時に戻る人もいれば、1年経過しても戻らない人もおり、個人差があるようです。
また産後は、身体のダメージ回復や赤ちゃんへの母乳に栄養を取られますから、そういった意味でも髪の元になる栄養の不足により、抜け毛が生じやすくなるそうです。
ただ、産後にしっかりと葉酸を摂取すると、
・タンパク質の合成を促進する効果(髪の毛の99%はタンパク質)
・造血作用で血行促進、髪へ栄養が届きやすくなる。
・髪の毛を生み出す細胞の分裂の促進効果。
などなどの効果が期待でき、産後の抜け毛対策になるというわけです。
【其の十】産後うつ予防の効果がある
産後によくある心身の不調の1つに「産後うつ」があり、実に産後ママの10人に1人は産後うつを経験するようです。大きな理由の1つとして、産前産後は極端な生活の変化による「自律神経の乱れ」が挙げられます。自律神経の乱れによって…
マタニティブルー・めまい・耳鳴り・不眠症・息切れ・動悸・心臓がバクバクする・呼吸が苦しい・全身の倦怠感・内臓関係の不調(胃が痛い、気持ち悪いなど)・食欲不振・顔や手足のほてり、異常な発汗・手足の冷え、イライラ感
などなど、様々な症状を引き起こします。
そんな自律神経の乱れに、葉酸は効き目があります。葉酸には脳の神経系に関与することで、気持ちをリラックスさせたり精神を安定させる効果があるからなど…、理由として考えられることはいろいろとあるようです。
2007年に村上健太郎氏(東京大医学部助教)と溝上哲也氏(国立国際医療センター研究所部長)らが行った研究データからも、葉酸はうつ病予防に大きな働きがあることが実証されてます。参考:www.nutrepi.m.u-tokyo.ac.jp
ですので、10人に1人がなる産後うつ予防のためにも、葉酸はしっかり摂取するようにしましょう。
産後うつについては次の記事にまとめてあります。
【其の十一】美容効果がある
葉酸は「タンパク質の生成や合成」に関わっている栄養素で、「細胞分裂を促進し、新陳代謝を活発にする」という働きがあります。この働きによって、肌の代謝が促進されて、健康的で健やかな肌状態をキープする事ができます。
そして、腸内の粘膜強化を促進する働きもありますから、腸内運動が活発になることで便秘が改善されたり、消化吸収が良くなるなど、体の内側からも美しくなるでしょう。
また、葉酸はビタミンB12とともに「造血のビタミン」と呼ばれ、健康な血を作るために大きく役立っています。血のめぐりが良くなることで、肌色が明るくなり、老廃物も流れるようになります。
このように葉酸には美容効果がありますから、妊娠中・産後に限らず、継続的に葉酸を摂取することをオススメします。
【其の十二】動脈硬化の予防効果がある
妊娠中の妊婦さんにとっては、まだ関係のないお話しかもしれませんが、「葉酸の動脈硬化の予防効果」についてもご紹介します。
最近の研究によれば、血液中に「ホモシステイン」という物質が増えることが、動脈硬化の要因の1つだと分かっています。そして、葉酸はビタミンB6やB12と協力して、ホモシステインを無害なものにして、動脈硬化になるのを抑える働きがあるとのこと。
動脈硬化は「狭心症・心筋梗塞・脳梗塞・閉塞性動脈硬化症」などを引き起こす可能性があります。また、血液中のホモシステイン量の上昇が「認知症・アルツハイマー病」の危険因子であるとの研究結果も出ています。
このような動脈硬化から派生するさまざまな病気の予防にもなりますから、年齢を重ねても、葉酸・ビタミンB6・B12は継続的に摂取するようにしましょう。
妊娠したら葉酸を摂るべき12の理由まとめ
以上、葉酸を摂るべき理由として「葉酸の効果」を12個ご紹介しました。
まとめるとこの12個ですね↓
- 1.胎児の神経管閉鎖障害の予防効果
- 2.貧血(悪性貧血)の予防効果がある
- 3.流産を防止する働きがある
- 4.子どもの自閉症リスクの低下に効果がある
- 5.つわり軽減に効果がある
- 6.母乳の出を良くし、栄養価を高める効果がある
- 7.免疫力を高める効果がある
- 8.産後の子宮回復の促進効果がある
- 9.産後の抜け毛対策に効果がある
- 10.産後うつ予防の効果がある
- 11.美容効果がある
- 12.動脈硬化の予防効果がある
いかがでしょうか?
「1.胎児の神経管閉鎖障害の予防効果がある」については、母子手帳にも書かれている内容で有名なポイントですので、ご存知のことと思います。しかし、他の効果については、ご存知ない内容もあったかもしれません。
以上の葉酸の効果から、葉酸は妊娠中のみでなく、産後授乳期を過ぎてもとても大切な栄養素である事が分かって頂けたと思います。
厚生労働省は普通の食事からの葉酸摂取量の基準を「1日240ug」と定めています。そして、妊活中・妊娠中・授乳中はサプリメント等から葉酸を、下記分量プラスして補うことを推奨しています。
・妊娠1ヶ月前~妊娠初期⇒プラス1日400ug(計640ug)
・妊娠中期・妊娠後期⇒プラス1日240ug(計480ug)
・授乳期⇒プラス1日100ug(計340ug)
「ベースは食事、補助としてサプリ」というポイントは忘れず、ママの美容と健康の為に、赤ちゃんの健康の為に、葉酸をしっかりと摂取するようにしましょう。
葉酸に関する食事やサプリのことについては、次の記事で詳しく解説しています。
良かったら参考にしていただけたら幸いです。