カフェイン4つの悪影響とOKな一日限度量について。カフェインで流産確率が2倍のデータも

一般的に「妊娠中はカフェインを控えましょう!」と言われていますが、『なぜカフェインがダメなのか?』を正確に知らないままカフェインを我慢している妊婦さんも多いようです。

そのため「少しくらいなら大丈夫でしょ。」という判断で、コーヒーなどのカフェイン摂取を続けている人も少なくないようです。しかし、妊娠中のカフェイン摂取には、妊婦さんや胎児にさまざまな悪影響があるので要注意なのです。

そこで、産婦人科医に指導された「妊婦はカフェインNG!」とされる4つ理由をお伝えします。この事実を知ったら「カフェインは絶対我慢しよう」と思ってもらえることでしょう。

また「どうしても我慢できない!」という人のために、国際機関などで勧告されている「妊娠中のカフェイン摂取量は1日どのくらいまでOKなのか?」のことや、カフェイン飲料の代わりになるドリンク、などについても説明していきます。

「妊婦はカフェインNG!」とされる4つの悪影響とは?

「妊婦はカフェインNG!」とされる4つの悪影響とは?

妊娠中のカフェイン摂取に関して、国際機関などにおいて注意喚起等がなされています。例えば、世界保健機関(WHO)は「カフェインの胎児への影響はまだ確定はしていないが、お茶、ココア、コーラタイプの飲料はほぼ同程度のカフェインを含んでおり、またコーヒーはその約2倍のカフェインを含んでいることから、妊婦に対し、コーヒーを1日3から4杯までにすること」と呼びかけています。

しかし、各国の研究機関などのレベルでは、カフェインの過剰摂取によって起こる胎児・妊娠中のママへの、次のような悪影響の可能性が指摘されています。

【悪影響1】超危険!妊娠中のカフェインで流産確率が2倍に!?

アメリカのカイザー・パーマネンテ(Kaiser Permanente)という健康保険会社の研究チームが、1996年10月~1998年10月まで、妊娠前と同量のカフェイン入り飲料を妊娠後も飲み続けた1063人の女性を追跡調査したところ…

流産の危険性は日々のカフェイン摂取量に比例する、ということが明白に示されたとのことです。

1日に200ミリグラム(mg)以上のカフェインを摂取する女性は、全くカフェインを取らない女性に比べて、流産の確率が2倍になることが分かったそうです。

流産の確率が2倍にもなるなんて…、妊婦さんにとって、カフェインがNGな存在であることが分かっていただけると思います。

【悪影響2】胎児の胎児発育遅延、発育障害、低体重出産につながる

イギリス・レスター大学&リーズ大学の論文によると、200mgのカフェインを摂取した場合に胎盤の血流が25%減ることが判ったとのこと。胎盤の血流が減少するということは、その影響で胎児に十分な栄養・酸素が送れなくなるということです。また、カフェインは胎盤を通過してしまいますが、胎児の身体はまだ未発達でカフェインを代謝することができないので、カフェインの影響を受けやすいようです。

こういったことにより、胎児発育遅延、低体重出産、低体重出産につながる可能性が指摘されています。論文によれば胎児発育遅延のリスクが次のように考えられています。

1日のカフェイン摂取量100mgを基準とすると・・・
1.100-199mgの場合、100mgの場合の1.2倍
2.200-299mgの場合、100mgの場合の1.4倍
3.300mg以上の場合、100mgの場合の1.5倍

このデータを見る限り、もしカフェイン摂取をするにしても100mg以下になるように心がけたいところでしょう。

【悪影響3】カルシウムを排出、骨粗しょう症のリスク

カフェインには尿としてカルシウムを排出する働きがあるため、妊婦さんの骨が弱ってしまい、将来的に骨粗しょう症になるリスクを高める可能性があると指摘されています。

カルシウムは赤ちゃんの骨格形成に関わる大切な栄養素で、妊婦さんの推奨摂取量は「1日650mg」とされています。しかし、20代・30代の女性は「1日430mg」ほどしか摂れていないというデータがあります。

妊娠中はカルシウム摂取量を増やすべき時期ですから、カフェイン摂取によるカルシウムの排出は大きなデメリットでしょう。

【悪影響4】鉄分の吸収を妨げる、貧血につながる

鉄分はカルシウムと同様、妊娠中には摂取量を増やすべき栄養素の1つで、妊婦さんの貧血予防の効果があります。妊娠中の推奨摂取量は「妊娠初期:1日8.5~9.0mg」「中期~後期:1日21.0~21.5mg」です。しかし20代・30代の女性は「1日6.5mg」程度しか摂れていませんので、特に中期~後期には頑張って摂取量を増やす必要があります。

そんな鉄分ですが、カフェインや、コーヒー・緑茶・紅茶などに含まれるタンニンには、鉄分の吸収を阻害する働きがあるんです。カフェイン・タンニンの働きで、妊婦さんの貧血につながる恐れが指摘されています。

他にも、妊娠中期~後期になりお腹が大きくなってくると、胃液が逆流し胃もたれをおこす妊婦さんが多いですが、カフェインは胃液の分泌を活発にするために胃もたれ症状を強めてしまう、などの悪影響もあります。

このように妊娠中にカフェイン摂取をすることで、胎児や妊婦さん自身にいろんな悪影響が出てくると懸念されているので注意が必要です。

妊婦でもOKなカフェイン摂取量がある?1日どのくらい?

妊婦でもOKなカフェイン摂取量がある?1日どのくらい?

上記のような悪影響があるために、妊娠中のカフェイン摂取に関して、国際機関などでは次のように注意喚起等がなされています。

世界保健機関(WHO)
カフェインの胎児への影響はまだ確定はしていないとしつつも、紅茶・ココア・コーラ飲料は、ほぼ同程度のカフェインを含んでおり、コーヒーにはこれらの約2倍のカフェインが含まれていることから、妊婦はコーヒーの摂取量を1日3~4杯までにすべきと呼びかけています。

英国食品基準庁(FSA)
妊婦がカフェインを摂り過ぎることにより、出生児が低体重となり、将来の健康リスクが高くなる可能性があるとして、妊娠した女性に対して1日当たりのカフェイン摂取量を200mg(コーヒーをマグカップで2杯程度)に制限するよう求めています。

カナダ保健省(HC)
過剰摂取は不眠症、頭痛、イライラ感、脱水症、緊張感を引き起こすため、特に子供や妊婦、授乳中の女性は注意すること。カフェインの影響がより大きい妊婦や授乳中、あるいは妊娠を予定している女性は最大300mg/日(マグカップで約2杯)までとしています。

オーストリア保健・食品安全局(AGES)
妊婦および授乳中はアルコール及びカフェインの摂取を控えるよう注意喚起をしてます。カフェインについては、1日当たりの摂取量が300mgを超えないよう勧告しています。

まとめると次の図の通りです。

妊婦でもOKなカフェイン摂取量

英国食品基準庁(FSA)のカフェイン1日200mgが、一番厳しい基準値となっっていますので、1日200mg以下のカフェイン摂取量であれば大きな問題はないと考えられるでしょう。

ただ、

【悪影響1】超危険!妊娠中のカフェインで流産確率が2倍に!?
【悪影響2】胎児の胎児発育遅延、発育障害、低体重出産につながる

で書いたような研究機関のデータもありますから、当メディアとしては『カフェイン摂取量1日100mg以下』を意識して欲しいと考えています。(もちろん理想としては、極力カフェインを摂取しないことです。)

参考資料
ファクトシート(食品安全委員会)
カフェインの過剰摂取についてQ&A(厚生労働省)

飲み物・食べ物別のカフェイン含有量一覧

飲み物・食べ物別のカフェイン含有量一覧

『カフェイン摂取量1日100mg以下』と言ってもなかなかイメージが湧かないと思います。
カフェインと言えばコーヒーですが、緑茶、紅茶、コーラ、ココア、ウーロン茶、チョコレートなどにも含まれていますので、それぞれどのくらいのカフェインが含まれているのか把握しておくと良いでしょう。代表的なものをご紹介します。

飲料/食品 単位 カフェイン量
レギュラーコーヒー抽出液 100ml 60mg
インスタントコーヒー 100ml 60mg
ココア 100ml 10mg
玉露100ml 100ml 160mg
煎茶100ml 100ml 20mg
紅茶 100ml 30mg
ウーロン茶 100ml 20mg
ほうじ茶 100ml 20mg
玄米茶 100ml 10mg
抹茶100ml 100ml 30mg
番茶100ml 100ml 10mg
コーラ100ml 100ml 10~19mg
ミルクチョコレート 100g 25~36mg
高カカオチョコレート 100g 68~120mg
缶コーヒー 1本 100~150mg
エナジードリンク 1本 22~142mg
栄養ドリンク 1本 30~50mg
眠気覚ましドリンク 1本 100~150mg

このようにカフェインが含まれている飲み物が、意外と多いことが分ります。

口寂しい時にチョコレートを口にする妊婦さんも多いかと思いますが、カカオを使用している本格的なチョコではなく、1枚100円の板チョコなどにしたほうが良いでしょう。(糖分が多いので食べる量に気をつける必要はありますが・・・)

妊娠中はノンカフェインのコーヒーやドリンクがオススメ!

妊娠中はノンカフェインのコーヒーやドリンクがオススメ!

カフェインは『摂取量1日100mg以下』という分量を守れば概ね大丈夫だとは言っても、あくまで目安の1つにすぎず、個人差が大きいことも分かっています。

先輩ママの口コミを見ても、「よくコーヒー飲んでたけど大丈夫だった」という声もあれば、「コーヒー飲んでたのが○○の原因だったのかも・・・」と赤ちゃんに出た症状に悩んでいるママもいました。(カフェインが直接的な原因であるのかは不明ですが・・・)

上記の4つの悪影響で説明したように、カフェインを全くとらない妊婦さんに比べて、赤ちゃんへの危険度が高まることは事実ですので、カフェイン入りのものはなるべく控える事が望ましいでしょう。

「じゃあ何を飲んだらいいの?」ということで、ノンカフェイン飲料のラインナップをいくつかご紹介させていただきます。

麦茶

妊婦さんにオススメの飲み物として代表的なものが「麦茶」です。麦茶はノンカフェインですので気軽に飲めますし、妊娠中に摂取したい「食物繊維」や「ミネラル」が豊富に含まれているのも魅力です。

ただ、身体を冷やす作用もあるので、常温やホットにして飲むことをオススメします。麦茶は何と言ってもリーズナブルなのが嬉しいでしょう。

たんぽぽコーヒー(たんぽぽ茶)

妊娠中のノンカフェイン飲料といえば「たんぽぽコーヒー」も有名です。乾燥させた西洋タンポポの根っこが原料となっています。ビタミンやミネラルを豊富に含んでおり、貧血防止・便秘解消・産後の母乳分泌促進などの効果が期待できるとされています。ですので、妊娠中のみならず、産後も飲み続けるママが多いようです。

デカフェ(ノンカフェイン/カフェインレスコーヒー)

デカフェとはWikipediaを見ると、

本来カフェインを含んでいる飲食物からカフェインを取り除いたり、通常はカフェインを添加する飲食物にカフェインの添加を行わないことで、カフェインを含まなくなったもののことを指す

とされているものです。

最近では「GEPA」や「マウントハーゲン」など、カフェインレスなのに深みのある味わいを楽しめるものも手に入るようになっています。スターバックスなどのコーヒー店でも用意されていて(スタバのデカフェ情報)、本格的な風味や味わいを楽しめるのが魅力です。コーヒー大好きな妊婦さんにとっては強い味方となってくれるでしょう。

ルイボスティー

妊娠中に飲めるハーブティーの中でも、ルイボスティーはとても人気があります。子宮収縮作用など、妊娠に影響する要素がありませんし、アッサリした味でクセがないので飲みやすいです。ルイボスティーには鉄分やカルシウムなどのミネラルが豊富だったり、抗酸化作用により免疫力を高める働きが期待できるのも大きな魅力です。

塩レモンドリンク

妊娠中、特につわりがある妊娠初期は「酸っぱい」ものを口にしたがるママが多いです。そんな時にオススメなのが塩レモンを使ったドリンクです。塩レモンは塩とレモンがあれば誰でも簡単に作れますが、ビタミンCが豊富で美容効果やダイエット効果も期待できたり、料理の調味料としても使えるなどアレンジの幅が広いです。

ジンジャーエール、炭酸水、水、豆乳、ノンカフェインティなどなどに塩レモンを入れたら、お気に入りの組み合わせが見つかるかも知れません。塩レモンについては次の記事をご参照下さい。→【完全解説】塩レモンの作り方&使い方100レシピまとめ

他にも、ノンカフェイン飲料には沢山の種類がありますので、妊娠という機会を活用して、ノンカフェインの世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。

【悲報】産後もカフェインに気をつけるべき理由とは?

【悲報】産後もカフェインに気をつけるべき理由とは?

コーヒーなどが大好きな人は、「出産したらコーヒーをたくさん飲める!」と夢のように思い描くかもしれませんが、実は産後もカフェインはほどほどに控えなければなりません。

なぜなら、授乳期間中にママがカフェインを摂取することで、母乳にカフェインが含まれてしまい、赤ちゃんがカフェインも一緒に取り入れてしまうことになるからです。

カフェインの影響で赤ちゃんがぐずりやすくなったり、なかなか寝てくれなくなったり、夜泣きが多くなるなどの可能性が示唆されています。また、乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)の発症率が高くなることも分っているとのこと。

もちろん、妊娠中と比べたらそこまで気にする必要はなくなってきますが、毎日5~6杯飲み続けるなどは控える必要があるでしょう。

妊婦とカフェインについてまとめ

以上、「妊婦はカフェインNG!」とされる理由や、どうしても飲みたい場合の1日の摂取量目安、カフェイン含有量一覧など解説させていただきました。

カフェインは過剰に摂ることがNGということで、国際機関などでは『カフェイン摂取量1日200mg以下』という分量を守れば摂取しても概ね問題ないとされており、あまり神経質になる必要はないのかもしれません。

しかし、4つの悪影響として紹介した・・・

  • 流産のリスク
  • 胎児の胎児発育遅延、発育障害、低体重出産のリスク
  • カルシウムを排出、骨粗しょう症のリスク
  • 鉄分の吸収を妨げる、貧血につながるリスク

などが高まるという事実はありますので、「コーヒーは1週間に2回だけにする」など、なるべくカフェイン摂取は控えるようにし、ノンカフェイン飲料などで代用することをオススメします。

出産後であっても、授乳期間中はなるべくカフェイン摂取を控える必要がありますが、これも愛する赤ちゃんの健康のためと思っていただけたら幸いです。

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