赤ちゃんの中耳炎はどんな症状?見分け方やサイン&治療や予防法など
子供の頃に急性中耳炎になったという方も、いらっしゃるのではないでしょうか?痛かった思い出や、耳から膿が出てきたなど、覚えはありませんか?
赤ちゃんが夜、突然火がついたように泣いたり、耳をしきりに気にするなどの症状があったら、それは急性中耳炎かもしれません。
赤ちゃんは中耳炎になりやすく、完治しないと再発を繰り返してしまう病気でもありますので、しっかりと治療することが大切です。
ここではそんな赤ちゃんの中耳炎について、原因は何か?どんな症状でどんなサインを出してくれるのか?どんな治療法や予防法はあるのか?お風呂に入れてもいいのか?などなどの疑問を解説していきます。
もくじ
中耳炎ってなに?
主に風邪などをキッカケにして、鼓膜の奥に膿が溜まることを中耳炎と呼びます。治療をしてもすぐに治らないことも多く、完治しても繰り返すことが多いです。
0~3歳の乳幼児の約7割が中耳炎を発症するというデータもあります。喋れない、言葉で伝えられない赤ちゃんだからこそ、中耳炎の知識を知っていれば重症化を防げるかもしれません。
赤ちゃんの中耳炎を放置すると耳の聞こえが悪くなり、耳からの情報がうまく脳に伝達されないため、発語や脳の発達の妨げになることもあるのです。
そんな身近で怖い、赤ちゃんの中耳炎について、さらに詳しくご紹介していきます。
赤ちゃんの中耳炎の原因は?中耳炎は耳のどのあたりで起こるの?
「中耳炎って言葉を知ってはいるけれど中耳ってどこ?」なんて疑問をお持ちの方も、多いのではないでしょうか?
中耳炎の症状を知る前に、複雑な耳の仕組みや、原因を知ることも大切ですのでご説明します。
耳の仕組み
皆さんが聞いている音は、空気の振動だということをご存知でしたか?
“音波”を私たちが認識できる音に変換してくれているのが、耳です。耳から音波を集め電気信号に変換し、脳で理解しています。
では、耳の名称、働きを見てみましょう。
耳介(じかい)
頬の横についている耳を、耳介(じかい)と呼びます。主にこの部分が音波を集めています。
外耳(がいじ)
耳かきなどをする部分です。耳介の穴部分から、鼓膜までの部分を外耳と呼びます。ここが炎症を起こすことを、外耳炎と呼びます。先ほどの耳介で集めた音波を、ラッパの管のように音を増幅させて鼓膜を振動させる働きがあります。
中耳(ちゅうじ)
この中耳が中耳炎を引き起こす場所になります。鼓膜から内耳の間にある空間があり、そこで炎症を起こすと中耳炎という症状となります。
そして中耳も外耳と同じように鼓膜から、その隣の鼓室にある「ツチ骨→キヌタ骨→アブミ骨」とテコの原理で、その奥にある内耳(ないじ)へ音波を増幅させながら伝えていく大切な役割も担っています。
内耳(ないじ)
耳介から集めた音波を、今までのところは増幅させてきたわけですが、ここで電気信号に変換します。この内耳のおかげで、電気信号に変わり神経や脳に伝えることができるのです。
中耳炎の原因は風邪による鼻水?耳管ってなに?
なぜ、鼓膜で守られているはずの中耳に炎症が起こるのでしょうか?
それはこの中耳というスペースには、耳と鼻を繋げている「耳管(じかん)」という管があるからなんです。
耳管の役目は主に次の3つ。
・排泄・・・中耳に溜まった浸出液を、鼻に流してくれる。
・守る・・・鼻から中耳へと侵入するウイルスや細菌などから守り、中耳に自分の声や呼吸音が入らないように守ってくれる。
ウイルスから守ってくれているはずの耳管ですが、乳幼児はまだ耳管が未熟です。大人よりも管が短く太くまっすぐなため、鼻や喉の影響を受けやすいのです。
鼻水の中には菌やウイルスがたくさん含まれていますので、鼻風邪がきっかけで耳に鼻水は入り、中耳炎になってしまう乳幼児がほとんどです。
赤ちゃんの急性中耳炎の症状&見分け方のサインとは?
一般的に赤ちゃんの中耳炎というと、急性中耳炎のことを言います。急性中耳炎の症状や見分け方のサインなどをお伝えします。(その他の中耳炎については後述します)
ポイント
中耳に急性の炎症が起こった状態のこと。突然腫れ、ゆっくりと腫れが引いていくのが特徴です。生後6ヶ月までに約半数、1歳までに約8割、2歳までに約9割の赤ちゃんが、1回は中耳炎にかかるといわれています。
夕方は何ともなくても、夜突然尋常じゃない泣き方をし始めて、夜間救急に行ってみたら急性中耳炎だったなんていう話もあります。
主な症状は?
- 突然の激痛
- 熱
- 耳垂れ
耳垂れが出ると途端に痛みや熱が軽減しますが、その場合慢性化しやすくなる傾向がありますので、早めの受診を心がけましょう。
見分け方のサインは?
赤ちゃんの場合言葉で伝えられないので、見分け方として次のようなサインにも気を付けてみましょう。
- 機嫌が悪い
- 赤ちゃんが自分の耳を触ったり、ひっぱったりと気にする
- 耳の後ろを触ると嫌がる
そして熱っぽいなと感じた時は、赤ちゃんの両脇の熱を測ってみてください。
急性中耳炎になっている場合、中耳炎になっている耳側の脇と、なっていない方の耳側の脇で体温に違いあることが多いです。急性中耳炎になっている側が高温であることが多いので、熱が出ている場合は、どちらの耳が中耳炎かの見分けがつくこともあります。
急性中耳炎の痛みの対処方法は?
まず突然痛くなることが多い急性中耳炎。残念ながら、中耳炎は放っておいても自然には治りませんので、耳鼻咽喉科や小児科を受診する必要があります。
しかし、夜間や病院が開いていない時もあるでしょう。そんな時はどんな方法で痛みをとってあげればいいでしょうか?
急性中耳炎の痛みは、冷やすことでやわらげることができます。保冷材などで耳の後ろを冷やしてあげるだけでも楽になるでしょう。手持ちの痛み止めを使用しても大丈夫です。
痛みがそれで落ち着くのであれば、次の日に病院へ行けば良いですが、痛みが続いてどうしようもない場合は休日診療や、夜間救急に行って診察してもらいましょう。
急性中耳炎の治療法は?病院や家庭ではどんな処置する?
急性中耳炎の治療法は基本的には、痛み止めが処方されます。
抗生物質は「腫れが酷いとき、中耳炎が原因による高熱のとき、痛み止めで痛みが治らないとき」に処方となる場合が多いようです。
うみが溜まると耳だれが出てきますが、耳だれは表面に出てきたものを拭くだけで大丈夫です。耳の穴の中は、何もする必要はありません。耳鼻科で膿を吸い出します。
そして、これ以上菌が入らないように、鼻水を吸うこともします。赤ちゃんは自分で鼻水を出せないので、大人が出してあげる必要があります。小型鼻水吸引器を使ったホームケアが医師から推奨されているようです。
家でうまく吸い切れない時は、耳鼻科で吸い出してもらいましょう。
急性中耳炎になってもお風呂に入って大丈夫?
急性中耳炎になってしまった時に悩むのがお風呂ですよね。中耳炎は風邪や鼻づまりが原因なので、基本的には入浴やシャンプーはいつも通りにして大丈夫です。それによって悪化することはありません。
ただ、熱や痛みがある場合は入浴は避けましょう。痛みや熱で汗をかいていて気持ち悪そうですが、まだ炎症を起こしている状態になるので、温めるよりも冷やしてあげることが先決です。
なので痛みや熱があるうちは、固く絞ったタオルなどで身体を拭いてあげたり、汗で湿っていたら着替えさせてあげましょう。
急性中耳炎は症状が落ち着いてからも怖い!
急性中耳炎になった場合、しっかり完治させないと別の中耳炎になりやすい事をご存知でしょうか?
ちなみに、急性中耳炎は完治まで早くて1か月、膿の量が多いと2~3か月と、完治までとっても時間がかかります。治ったと思っても、症状が落ち着いただけで、中耳の中には膿や浸出液が溜まったままになっている場合もあるのです。
そんな急性中耳炎にかかった後になりやすいのが
・慢性単純性中耳炎(まんせいたんじゅんせい)
になります。
気づかないから恐い!滲出性中耳炎の症状
痛みや熱がなくなっても、まだ中耳に溜まった滲出液は残っています。滲出性中耳炎の恐いところは、特に痛みも発熱もないところです。
急性中耳炎が治っている最中の名前というイメージですが、3~4か月たっても浸出液が引かない場合も。そして滲出液が残っているため、細菌の感染を起こしやすくなっています。
再度、また急性中耳炎になってしまう可能性もあるんです。
主な、滲出性中耳炎の症状は
- 呼びかけても振り向かない、反応しない
- テレビの音が聞き取りにくそう
などの、聞こえの症状があります。
治療法は、明らかな難聴が長く続いている場合は切開もあり得ますが、急性中耳炎からの滲出性中耳炎は自然に排出されることが多いので、経過観察のみが多いです。
慢性単純性中耳炎
急性中耳炎の再発を繰り返していたり、長期に渡って炎症が続いていた場合、慢性単純性中耳炎になってしまう可能性もあります。また中耳と鼻を繋ぐ耳管の機能がよくないとなってしまうことも。
人の耳は、菌が中耳内に入ってくると鼓膜に穴をあけて、排出させようとする働きもあるんです。
主に症状は
- 耳垂れ
- 鼓膜に穴が開く
- 難聴
- 耳鳴り
- めまい
などがあります。
通常は膿を排出したら、自然と鼓膜が再生するのですが、中耳炎を繰り返すことによって鼓膜が開いたまま塞がらなくなってしまうケースもあります。その場合、鼓膜の再生手術が必要になります。
最悪な場合、ショウ骨の成形手術をする場合も。こちらも治療が遅くなってしまうと、聴力が低下してしまいます。
急性中耳炎は、例え痛みのピークを過ぎて落ち着いたように見えても、完治まで定期的な診察がとても大切な病気だということを分かっていただけるでしょう。
中耳炎の治療のゴールは、耳の鼓膜の奥のうみが“完全に”なくなり、耳が元通り聞こえるようになることです。「完治しました」と言われるまで通い続けることが大切です。
赤ちゃんを中耳炎にさせないための3つの予防策
1.風邪の予防をする
赤ちゃんの中耳炎の原因のほとんどが、風邪による鼻水です。そもそもの風邪を予防することで、中耳炎予防ができると言えるでしょう。
風邪の予防法はたくさんありますが、ここでは4つほどご紹介します。
赤ちゃんの体温調節を上手に!
赤ちゃんは大人よりも体温が高いです。大人の感覚で厚着をさせたり、お布団を掛けすぎたり、室温を上げすぎたりすると、たくさん汗をかいて、その後に身体を冷やしてしまいます。赤ちゃんは「熱い」「寒い」の表現ができませんので、汗をかいていないかどうか?日々チェックして、赤ちゃんにとって快適な環境を作ることを心がけましょう。
ウイルスが繁殖しにくい湿度にする
風邪の原因となるウイルスは、乾燥している環境を好みます。室内の乾燥は風邪の原因となる可能性がありますので、加湿器をつけて、湿度を40%~60%くらいに保つようにしましょう。加湿器がないなら、濡らしたタオルを干しておくだけでも大丈夫です。
喉を乾燥させないようにする
室内を乾燥させないことも大切ですが、喉を乾燥させないことも大切です。喉が乾燥していると、乾いた咳によって喉が炎症しやすくなります。炎症部分にウイルスが付着することで、風邪になりやすくなるので、部屋の湿度調節と合わせて、こまめに水分補給をすると良いでしょう。
手洗いうがいを習慣にする
赤ちゃんはまだうがいは出来ないかもしれませんが、手洗いはしっかり習慣づけたいところです。特に外出から帰ってきたときや、保育園から帰ってきたときなどは、しっかりと手洗いをしましょう。
2.鼻水をこまめに吸ってあげる
赤ちゃんが風邪をひいてしまった場合、痛い急性中耳炎に発展させないためには、鼻水の管理が大切です。赤ちゃんは自分で鼻をかめないので、鼻水を自分で外に排出することが出来ません。
鼻水を吸引できるグッズなどを利用して、パパやママが対策をしてあげることが重要です。鼻水がヒドくて夜眠れないような場合には、小児科などで医師の診察を受けると良いでしょう。
ちなみに鼻水吸引は家庭用の電動型もあります。耳鼻科の鼻水吸引と似たもので、コンセント型のタイプがとっても役に立つと評判です。鼻水吸引機は一家に一台あると大変便利かもしれません。
3.ミルクを飲む体勢に気をつける
赤ちゃんに哺乳瓶でミルクをあげるとき、授乳の姿勢が水平になっていると、鼻の方にミルクが流れてしまい「ミルク性中耳炎」になることがあります。
赤ちゃんにミルクをあげるときは、少し頭を起こした姿勢(母乳をあげるときのような姿勢)にしてあげましょう。
最後に
中耳炎は赤ちゃんがとてもかかりやすい病気です。放置すると長期間の治療が必要になり、最悪手術になることもありうる病気です。
ここで紹介した中耳炎の症状や、見分け方のサインなどを参考に、おかしいなと感じたら、なるべく早く耳鼻科や小児科で受診するようにしましょう。
また、中耳炎は一度発症したら、完全に治るまで長時間かかりますし、完全に治さないと再発を繰り返す恐れもあります。医師の指示に従って、「完治しました」という状態になるまで、根気強く治療に取り組みましょう。
おすすめの関連記事はこちら↓