不妊治療にかかる費用は?体内受精と体外受精で変わる検査内容と費用について
「結婚して赤ちゃんを望めば赤ちゃんはできるはず…」そう思っていたのに、なかなか赤ちゃんに恵まれない女性はたくさんいます。『赤ちゃんはまだなの?』という挨拶代わりのような言葉も、赤ちゃんを望んでいるのになかなか恵まれない女性にとってはとてもつらい言葉でしょう。
女性は、年齢が上がるにつれて、妊娠しにくくなってしまうため、妊娠が可能な期間に赤ちゃんが欲しいと望む人は多いです。そこで、女性は何歳くらいまで妊娠することが可能なのか、不妊治療とはどんなものなのか、費用はいくらくらいかかるものなのかについてご紹介します。
もくじ
妊娠適齢期って何?生理があっても妊娠できないって本当?
生理は、卵子が精子と出会わず受精卵ができなかったときに、赤ちゃんが育つために血液を蓄えて準備をしていた子宮内膜がはがれ落ちて、卵子や血液と一緒に体の外に出る現象のことをいいます。
つまり、生理あるということは、赤ちゃんになるための卵子がある証拠だと思っている人も多いのではないでしょうか。しかし、生理がある=妊娠できるというのは間違った認識なんですね。なぜなら、生理があっても、実は排卵がないということもあるんです。
そこで、生理があるのに妊娠しないときは、女性の体にはどんなことが起きているのかについてご紹介します。
排卵がなくなっても生理は終わらないことがある
女性の体は、排卵がなくなってしまったあとでも卵の周りにある細胞がホルモンを作り続けています。つまり、排卵がなくなっていても、細胞がホルモンを作り続けているため、卵がない状態でも体は受精卵を迎える準備をしていることがあるんですね。
そのためホルモンの影響で子宮内膜は受精卵を迎えるために血液を蓄え、ふわふわの状態を作っています。そして、一定期間が経過すると、排卵があったときと同様に子宮内膜がはがれ、血液と一緒に体の外に排出されます。これが排卵のない状態でも生理が続いている仕組みです。
当然ですが、排卵がなければ妊娠する可能性はありません。生理があっても妊娠できるとは限らないというのはこのような理由があるためです。
妊娠適齢期って何?女性が妊娠可能な期間とは?
『妊娠適齢期』という言葉をご存知ですか?
妊娠適齢期とは、女性が妊娠可能な期間のことをいいます。『妊娠適齢期』は、閉経のおよそ10年前までといわれています。女性の閉経の平均は51~2歳といわれているので、妊娠が可能な年齢は41~2歳が限界だということです。しかし、これはあくまで平均的な数字なので、閉経の年齢には個人差があります。閉経が遅い人であれば41~2歳まで妊娠することは可能ですが、閉経が早く40代の初めに閉経してしまう人の妊娠可能な期間は、30代初めということになります。
妊娠を希望する場合は35歳までをめどに治療を考えましょう
閉経には個人差があるので、数字だけで考えれば、51歳で閉経する人は41歳まで妊娠が可能だといえます。ただし、年齢が高くなればなるほど、妊娠の可能性が低くなっています。赤ちゃんになかなか恵まれず、不妊治療を考えるのであれば、遅くても35歳くらいを目安にしたほうが妊娠の可能性が高いということがいえます。
不妊治療に必要な検査や治療にかかる費用とは?
現在、不妊症といわれている人は10人に1人ともいわれています。赤ちゃんが欲しいと思えば、誰でも妊娠ができるわけではなく、およそ1割の女性が不妊に苦しんでいるということです。
ご紹介のように「生理があるからまだ排卵がある=妊娠できる」というわけではありません。妊娠を望む場合は、まずは排卵がきちんとあるかを確認して、適切な不妊治療を受けることが大切です。
一般的な不妊治療の種類
一般的な不妊治療には大きく分けて3種類があります。
- タイミング法
- 人工授精
- 体外受精
です。
タイミング法は保険が適用されますが、人工授精、体外受精は保険適用外のため、高額な費用になることが多いです。それぞれの治療法や治療にかかる費用についてご紹介します。
タイミング法
タイミング法とは、検査の結果から排卵日を予測して、医師から妊娠しやすい日の指導を受けて性行為を行い、妊娠するようにする治療法です。タイミング法は、保険が適用されるので、1回にかかる費用は数千円です。タイミング法は、不妊治療の一番はじめに行われる治療法です。
人工授精
人工授精は、子宮に人工的に元気のいい精子を注入する治療法です。対外受精と混同する人がいますが、人工授精は卵子を外に取り出して受精する方法ではありません。保険適用外なので、1回に1~2万円程度の費用がかかりますが、対外受精に比べると費用が安いので、何度か挑戦しても比較的経済的負担が少なくすむ治療法です。
対外受精
対外受精は、対外から卵子を取り出し、シャーレーの中で卵子と精子を受精させます。受精卵が分割をはじめ、受精後2日~6日ほど経過したら、子宮内に受精卵を戻す治療法です。タイミング法や人工授精では妊娠できず、自力での受精が難しい場合にこの治療法が適用されます。費用は、保険対象外のため1回の治療には20万~60万かかるといわれています。
ただし、対外受精の場合は国の特定不妊治療助成事業の公的補助を受けることができます。
顕微授精
方法は対外受精と似ているのですが、対外受精の場合は、採取した卵子と精子を自然な状態で受精を待ちますが、顕微授精の場合は、細いガラス針の先に精子1つを入れ、顕微鏡を使って卵子に直接精子を注入して受精させる方法です。顕微授精の技術料は4万円程度ですが、採卵、精子の調整など顕微授精にかかるすべての費用を合わせますと対外受精と同様20万~60万くらいの費用が必要になります。
不妊治療にかかる費用は100万円以上?不妊治療にかかる費用の平均金額は?
妊活のためにかかった費用の平均を調べると、35万円という結果が出ています。しかし、タイミング法で妊娠ができなかった場合、人工授精や体外受精、顕微授精のいずれかを経験した人の平均は一気に134万円まで上昇します。その中でも、人工授精、顕微授精の経験者のみの費用の平均はおよそ200万円になり、約6人に1人が300万円以上の費用がかかっています。
治療方針を間違えると費用はさらに増えることがある?
対外受精は、タイミング法や人工授精を試しても妊娠に至らず、自力での受精が難しい場合に行われる治療法です。女性には『妊娠適齢期』があるというご紹介をしましたが、女性の年齢が高くなると排卵があったとしても受精がうまくいかなかったり、子宮に受精卵を戻しても正常に着床しない場合があります。
卵子は正常に受精したとしても、子宮に戻せば必ず正常な妊娠が継続されるとは限らないということなんですね。いつまでタイミング法の治療を続けるのか、いつ人工授精に切り替えるか、いつ対外受精に切り替えるかというタイミングを誤ってしまうと、人工授精や体外受精の治療を行っても妊娠することができずに、何度も挑戦するとその分の費用がどんどん加算していってしまいます。
また、不妊治療は費用だけではなく体にも精神的にも負担が大きいので、気持ちの負担が大きくなってしまって妊娠がしづらくなってしまうこともあります。
自分たちにあった治療方針で治療をしてくれる医師や病院で治療を受けなければ、不妊治療の費用は増える可能性もあります。納得ができる医療機関や医師を探すことも不妊治療には大切なことです。
高額な不妊治療費はどうやって捻出しているのか
ご紹介のように不妊治療には100万円以上の高額な医療費がかかることが多いです。このような高額な医療費が必要な不妊治療ですが、治療費はどうやって捻出している人が多いのでしょうか?
調べによると、夫婦の貯蓄または収入と答えた人が半数以上で、そのほかは夫の貯蓄、収入または妻の貯蓄、収入が約20%ずつで、親の援助と回答した人は5%程度にとどまっています。
つまり、不妊治療のかかる費用は自力で捻出している人がほとんどだという結果がでているということです。そのため、金銭的なことがネックになってしまい、なかなか不妊治療に踏み切れなかったという人が多くいるという結果も出ています。
まとめ
不妊治療にはいろいろな方法があります。タイミング法で妊娠ができた場合は、数千円済ませることができますが、人工授精になると1回の治療で2~3万円の費用が必要になります。1回の治療で妊娠に至らなかった場合は、2~3万円の治療費×治療した回数の必要が必要になります。
人工授精で妊娠に至らなかった場合は、対外受精といった治療法があります。タイミング法や人工授精での妊娠ができなかった場合に適用される治療法なのですが、治療にかかる費用は十数万から多い人は100万円以上の費用がかかった人もいます。その中には300万円以上の費用をかけたという人も少なくありません。
不妊治療は、費用だけではなく、体にも精神的にも苦痛を伴う治療があります。
不妊治療を希望する場合は、夫婦でしっかり話し合い、納得できる医療機関や医師を選んで治療することをおすすめします。