産後の骨盤のゆがみで悩んでいる方に!骨盤のゆがみの原因・自宅での実践対策について
出産という大仕事を終えたママの身体は、いろいろと不快な症状が現れがちで、その原因の1つが「骨盤の歪み」とされています。特に「ポッコリお腹が元に戻らない」「お尻が大きくなった」「寸胴体型になった」など、産後のプロポーションで悩んでいるママがほとんどで、それを解消したくて「骨盤矯正をしよう!」と考えている人も多いでしょう。
ただ、産後の骨盤矯正をウリに商売をしている業者も増えており、中には販売促進のために「出産で開いた骨盤は自然には閉じない!」など、ウソ情報を平気で流しているところもあります。また、「骨盤が歪む」などの曖昧な表現も多く、骨盤矯正に関していろいろと誤解されているケースがよく見られます。
そこで今回は、産後の骨盤矯正をする前に知って欲しい12の重要ポイントを解説します。骨盤矯正を正しく実践するためにも、是非チェックしていただけたら嬉しいです。
もくじ
まずは骨盤の仕組みを知ろう!
骨盤は、左右の「寛骨」、その間にある「仙骨」、「尾骨」という骨からなります。下の図を見て分かるように、左右の寛骨は前方で左右の寛骨どうしが連結し、後方では仙骨をはさんで連結しています。前方の連結部分を「恥骨結合」、後方の連結部分を「仙腸関節」といいます。
医学の世界では、以前は仙腸関節は動かない関節「不動関節」とされていましたが、今では“ほとんど”動かない「半関節」とされています。動くと言っても“ミリ”単位のわずかな動きだそうです。
また、骨盤は人間の身体の中心にあって、上は背骨、下は股関節につながり、まさに土台として働いています。腸や内臓、子宮を包み込むような形をしており、それらを保護する役割もあります。
そのため骨盤は、強靭な靭帯や筋肉で補強され、とても頑丈な作りになっています。ですので、ちょっとやそっとのことで骨盤の関節が歪んだり、ズレるなんて事はありません。
勘違いだらけ!?「骨盤が歪む」とはどんな状態?
最近は骨盤ダイエットなどの影響で、「骨盤の歪み」を気にする人がとても多いです。そして、【骨盤が歪む=恥骨結合・仙腸関節がズレている】のように、「骨盤の形そのものが変形してしまっている」と思っている人が多いそうです。
例えば、次の図のようなイメージ↓
この例では、右側の仙腸関節がグイッと上にズレて、坐骨の位置が大きく上がっています。このようなイメージを持ち「ズレているのを元に戻して下さい!」「骨盤がズレているので、元通りにハメて欲しい!」と、施術院を訪れる人も多いとのこと。
しかし、上で説明したように、骨盤は強靭な靭帯・筋肉で補強されているので、普通に生活をしていて大きくズレてしまうようなことはありません。
ところが、多くの施術者の経験によれば、骨盤の触診をしてみると図のような大きな左右差を感じることがあるそうです。これは、分かりやすく2次元的に単純化すると、骨盤全体が傾いた状態だそうです。
例えば、次の図のようなイメージ↓
この例では、骨盤そのものの形はほぼ同じ状態のまま、右側に大きく傾いている事が分かります。このように、骨盤が1つの塊として左右前後の傾いたり、回転して捻れたりするようなことをまとめて「骨盤が歪む」と表現している専門家が多いようです。
ですのでココでは【骨盤が歪む=骨盤が1つの塊として左右前後の傾いたり、回転して捻れたりすること】という前提でお話していきます。
なぜ骨盤が歪む?骨盤が歪む2大原因とは?
では、そもそもなぜ骨盤が歪んでしまうのでしょうか?骨盤が歪む大きな原因として考えられているのは次の2つです。
【原因1】姿勢が悪いから
身体の中心にある骨盤は、姿勢が悪いことで上半身・下半身のバランスを保とうとして傾きます。
例えば下の図のように、足を開いて立ち、片足のどちらかに重心をかけたような姿勢をしている人をよく見かけます。これは悪い姿勢の代表例の1つで、骨盤が傾いてしまっています。
出典:ameblo.jp
また、下の図のような「猫背」や「反り腰」の人も多いですが、猫背だと骨盤が後ろに傾き、反り腰だと骨盤が前に傾くようです。
出典:hp-ez.com
他にも、下の図のような姿勢をついついしてしまっている人は多いのではないでしょうか?これらもよくある悪い姿勢の代表例といえるでしょう。
このような悪い姿勢により、全身がバランスを取ろうとして、骨盤以外の部分も不均等になります。それが癖となり習慣化することで、不均等な状態で筋肉が硬くなり、骨盤のみならず全身が歪んでしまうことになるのです。
【原因2】筋力が弱くなっているから
骨盤周りの筋肉が弱くなると、骨盤の位置が安定しにくくなり、骨盤が歪む原因となります。特にポイントとなる筋肉が大腰筋(腸腰筋)と内転筋だそうです。
大腰筋(腸腰筋)
腸腰筋(ちょうようきん)とは大腰筋(だいようきん)・小腰筋(しょうようきん)・腸骨筋(ちょうこつきん)の3筋を合わせた筋肉群の総称です。特に近年は大腰筋として注目されています。
・大腰筋…腰椎から骨盤を通って、股関節の内側に向かう筋肉のこと。
・腸骨筋…骨盤の内側から太ももの内側を結ぶ筋肉のこと。
これらは主に足を上げる際に働く筋肉で「腰の反り方」「骨盤の傾き方」に影響を与えるそうです。正しい姿勢のために重要な筋肉で、弱くなることで「お尻が垂れる」「猫背になる」「お腹の下がぽっこり」などの症状を引き起こすとのこと。姿勢も悪くなるため、骨盤も歪みやすくなるでしょう。
内転筋
内転筋とは太ももの内側の筋肉のこと。長内転筋・短内転筋・大内転筋・小内転筋・恥骨筋・薄筋をまとめた「内転筋群」としてお話します。
内転筋は骨盤から太ももの骨に向かう筋肉で、簡単に言うと「足を閉じるための筋肉」です。また、膝を内側から支える筋肉でもあるので、内転筋が弱くなることで「O脚」の原因となるそうです。そして「O脚」だと股関節が開いてしまうため、その影響で骨盤の歪みを引き起こすこととなります。
他にも骨盤の歪みに関係する筋肉はたくさんあります。骨盤の歪みを解消するためには、これらの筋肉を含めバランス良く強化することが大切でしょう。
産後の骨盤の歪みも原因は一緒??
妊娠中~産後は骨盤が歪みやすいと言われていますが、原因は基本的には同じで「姿勢が悪いから」「筋力が弱くなっているから」です。
まず、妊娠中の多くのママが、お腹の赤ちゃんが大きくなるにつれ、いわゆる「反り腰」という骨盤が前傾した悪い姿勢になります。
反り腰の状態だと腰に大きな負担がかかるので、腰痛になる妊婦さんが多いのは良く聞く話でしょう。そして骨盤が前傾することで、腸骨の外側の広がっている部分がせり出して広がって見えたり、大殿筋に力が入らなくなりお尻が垂れて見えるようになります。
また、妊娠中に「横座り」をするママも多いようです。
股関節がねじれ、骨盤の片側に体重がかかるようになるので、横座りも悪い姿勢の代表例とされています。例えば、図のように左側に足を出す横座りは、骨盤の右側に重心が移動し、股関節がねじれ、骨盤が時計まわりにねじれやすくなります。
横座りを左右交互に時々やるくらいであれば問題ないかもしれませんが、「片側一方向のみの横座り」が習慣になっているママは危険です。反対側の横座りをしてみて、もしやりにくかった場合は、すでに骨盤が歪んでいる可能性が高いです。
このような悪い姿勢が何ヶ月も続く事で、働きにくくなった筋肉が衰えてしまったり、悪い姿勢が習慣化して骨盤が歪んでしまうワケです。そして、産後も本来の筋肉の状態、本来の姿勢に戻りにくくなるのです。
さらに産後、育児をしていると「授乳で猫背になりやすい」「おむつ替えで左手に力が入りやすい」など、バランスの悪い状態になりやすく、これも骨盤を歪ませるポイントとなっています。
他にもう1つ、産後ならではの骨盤の歪みの原因として「リラキシンの影響」があります。妊娠中は「リラキシン」というホルモンが分泌され、出産をスムーズにするために骨盤の靭帯や関節を緩める働きをします。リラキシンの影響は、長い人で産後6ヵ月くらいまで続くと言われています。
骨盤の靭帯や関節が緩むということは、骨盤が歪みやすい状態であるということ。リラキシンの影響がある「妊娠中~産後数ヵ月」は、悪い姿勢の影響を受けやすく、骨盤が歪みやすい時期であると覚えておきましょう。
出産で開いた骨盤は「自然に閉じる?閉じない?」の嘘ホント
基本的には「出産で開いた骨盤は自然に閉じる」のがホント。
強靭な靭帯や筋肉で補強され、ほとんど動く事のない骨盤も、出産の時は大きく動きます。これは妊娠中~出産時に分泌されるホルモン「リラキシン」の働きによるもので、赤ちゃんの通り道を作るために恥骨結合がゆるみ、出産時に骨盤が最も開いた状態になります。
通常時の骨盤と、産後の骨盤は次の図のようになるようです。
(出典:dacco-web.com)
ここで気になるのが「この大きく開いた骨盤は、時間が経てば“自然と”元通りになるのかどうか?」という事でしょう。
よく「自然に元に戻ることはない!開いた状態のまま固まる!骨盤矯正が必要!」などと言われているので、そのために骨盤矯正をしようと考えるママは多いです。しかしこれは、骨盤矯正をウリにしている業界のセールストークである部分が大きく、でえすので、「出産で開いた骨盤は自然に閉じる」のがホントのところとなります。
昔は骨盤矯正なんてありませんでしたが、女性は5人6人とたくさんの子供を産んでいました。もし骨盤が開いたままなのであれば、とても無理なことですから、それを考えれば「出産で開いた骨盤は自然に閉じる」のは当たり前だと分かって頂けるでしょう。
※ただ、産前から骨盤が大きく歪んでいたり、産後、無理をしたり偏りのある身体の使い方ばかりしていたりすると…
例えば仙腸関節であれば「左右の可動性に差が生じ、片側の関節がなかなか正常に戻らず痛みを生じる」とか「仙腸関節の機能障害」になったり…、恥骨結合であれば「恥骨結合離開」といった症状になる可能性はあるようです。そうなった場合、医師や専門家による適切な治療が必要となってきます。
産後1ヵ月はとにかく安静にすべし!
出産でゆるんだ骨盤が元に戻るには、最低でも2ヵ月くらいかかるとされており、特に産後1ヵ月くらいは無理をせず安静にすることが大切と言われています。最初にしっかり安静にできるかどうかで、その後の経過も変わってくるそうです。
昔は「産後1ヵ月で床上げ」といわれ、それまでは布団を敷きっぱなしにして「ママの身体の回復」「育児」に集中できるようにしていたそうです。(最近では、無理のない範囲で少しずつ家事を再開し、少しずつ身体を動かすようにした方が回復に良いとされています。)
ですので、産後1ヵ月くらいは安静を心がけ、骨盤に大きな負担がかからないようにしましょう!激しい運動はもちろん厳禁ですし、骨盤に力が加わるような施術も避けた方が良いです。
また、産後は骨盤が安定していませんから、赤ちゃん以上に重いものは持たないようにすることをオススメします。特に上のお子さんがいる場合、妊娠中に寂しい思いをさせた分、甘えさせてあげたくなるかもしれませんが、立った状態で抱っこするのは控えた方が良さそうです。
骨盤矯正についても「産褥体操で子宮や身体を回復をさせる」くらいの軽度のものにすると良いでしょう。「骨盤ベルトを使用して不安定な骨盤をサポートする」「正しい姿勢を意識するためにリフォームインナーを着用する」などもオススメです。
産褥期の過ごし方については次の記事をご参照ください。
産後の骨盤矯正!骨盤の歪み解消のためにすべき3つのこと
産後、ママの体力が回復し骨盤が安定してきたら、いよいよ骨盤矯正です。骨盤の歪みを解消するために次の3つのことを実践していきましょう。
- 【1】骨盤や姿勢に関係する筋肉をバランスよく鍛える
- 【2】関節の可動域を広げ柔軟性を高める
- 【3】日常の姿勢を良くする
それぞれ詳しく解説していきます。
【1】骨盤や姿勢に関係する筋肉をバランスよく鍛える
骨を導くのは筋肉です。悪い姿勢によって弱くなった筋肉、付き方のバランスが悪くなった筋肉を、バランス良く鍛えることで骨盤・骨格を正しい位置に導くことができます。
骨盤や姿勢に関係する筋肉は「インナーマッスル」と呼ばれる筋肉で、関節の位置や姿勢の調節をする働きがあります。大腰筋(腸腰筋)や内転筋群以外にも、脊柱起立筋など沢山の筋肉がありますので、そういった筋肉を総合的に動かすことのできる運動が良いでしょう。また、インナーマッスルを鍛えるには、軽い負荷の有酸素運動が効果的とされています。
これらの条件を満たすエクササイズの代表例は「ヨガ」や「ピラティス」で、最近は「産後ヨガ」「産後ピラティス」など教室もよく見かけますね。他にもウォーキングやランニング、水泳・アクアビクス・アクアウォーキングなどもオススメのようです。
【2】関節の可動域を広げ柔軟性を高める
身体が歪んでいる状態で生活をしていると、働く筋肉のバランスが悪くなり、いろんな筋肉に余計な負担がかかることになります。負担がかかっている筋肉はずっと緊張状態にあるために、硬くなって弾力性を失ってしまったり、硬い筋肉の影響で関節の可動域が狭くなることもあるそうです。
身体の柔軟性に左右差があり「右側は動かしやすいけど左側は動かしにくい」といった状態の人も多いようです。そんな状態でエクササイズをしても効果が得られにくいですし、そればかりか、バランスの悪さを悪化させてしまう可能性もあります。
ですので、ストレッチなどによって関節の可動域を広げたり、筋肉の柔軟性を高めて、バランスの良い状態でエクササイズをすることが大切です。柔軟性を高めて身体を整えるというポイントにおいては、整骨院・整体院などで施術を受けるのもオススメです。
【3】日常の姿勢を良くする
「筋肉を鍛える」「柔軟性を高める」ことで身体の歪みが解消されたとしても、日常の姿勢が悪かったらまた元に戻ってしまいます。骨盤が歪む大きな原因の1つが「姿勢の悪さ」ですから、それを直さない限り骨盤の歪みは繰り返されるのです。
ですので、日頃から自分がどんな姿勢をしているのか注意深く観察し、もし悪い姿勢だと分かったらすぐに改善し、良い姿勢で生活することを習慣づけましょう。
というわけで、産後の骨盤矯正のためには「筋肉を鍛え」「柔軟性を高め」「姿勢を良くする」を平行して行うことが大切です。
産後の骨盤矯正はいつから?早めがベスト?
妊娠をすると、全身の靭帯の結合を緩める働きのある「リラキシン」というホルモンが分泌されます。リラキシンによって骨盤が緩み、赤ちゃんをスムーズに出産出来るようになるワケです。
このリラキシンの分泌自体は産後2,3日で止まりますが、緩んだ靭帯が元に戻るのは一般的には3,4ヵ月ほど、遅くとも6ヵ月ほどだそうです。それまでは骨盤が緩んでいる状態で、骨盤矯正がしやすいタイミングとのこと。(ちなみにリラキシンによる影響は「産後1ヵ月まで」「産後3か月まで」「産後6か月まで」など、いろんな説があるようです。)
「じゃあ産後すぐに始めたら良いのか?」と言われると、そうでもありません。産後1ヵ月くらいは後陣痛があったり、悪露が出たり、出産の影響が身体に残っています。ママの身体の負担はとても大きいですから、少なくとも産後1ヵ月はしっかりと休んで体力回復に集中することをオススメします。「1ヵ月健診が終わって特に問題がなかったら始める」くらいの感覚で良いでしょう。
結論としては「産後の骨盤矯正は産後2ヶ月(ママの体力が回復してから)~6ヵ月(特に3か月以内)がベスト」と考えています。
ちなみに「産後6ヵ月以上経ったら骨盤矯正はもう遅い?意味がない?」と言われたら、そんな事はありません。もしそうであれば、一般の人は骨盤矯正できないことになりますから。あくまで「骨盤の靭帯が緩んだ状態で矯正しやすい」という事であって、産後6ヵ月以上経っていても骨盤の歪みは治すことはできます。
また、【骨盤矯正しやすい時期=骨盤が歪みやすい時期】と言い換えることもできますので、悪い姿勢だったり、偏ったエクササイズなどには要注意です。
プロに骨盤矯正の施術をしてもらう必要はある?
産後の骨盤矯正のために「整骨院・整体院・カイロプラクティック」などに通うことを検討しているママも多いでしょう。こういった施術院のホームページ等をチェックすると…
産後こんな症状で悩んでいませんか?
・産前のジーンズやスカートが履けなくなった
・ポッコリお腹が元に戻らない
・下半身太りが気になる
・お尻が大きく&垂れるようになった
・腰痛になった
・尾骨痛や恥骨痛など骨盤周りに痛みがある
・股関節に痛みがある
・尿漏れする
これらの症状の原因は「骨盤の歪み」です。出産で開いた骨盤は自然に元通りになることはなく、開いたり歪んだままの状態で固定されてしまいます。放っておくとさらに症状が悪化するので、産後の骨盤矯正は必要です。
このような、産後ママを不安にさせるような内容が書かれていることがよくあります。
ただ、上で解説したように、基本的には出産で開いた骨盤は自然と閉じて元通りになります。骨盤周りの痛みや恥骨痛、尿漏れなどの出産直後によくある症状も、身体の回復とともに解消されていくものです。
また、腰痛についても「骨盤の緩みがなくなり安定」「妊娠中の反り腰姿勢が改善」「腰回りの筋肉をバランスよく強化」などで改善されていくようです。
また、お尻が大きくなった、などのプロポーション関連のことも「筋肉を鍛え」「柔軟性を高め」「姿勢を良くする」などで改善されます。この部分については次の項目で詳しく解説します。
ですので、上記のような産後の症状改善のため、という目的であれば、必ずしもプロの施術を受ける必要はありません。自力でも十分に改善できると考えて下さい。
産後のプロポーションの悩みと骨盤矯正の関係
ほとんどの産後ママにとって、大きな悩みの1つが「プロポーションの悩み」です。
・産前のジーンズやスカートが履けなくなった
・ポッコリお腹が元に戻らない
・下半身太りが気になる
・お尻が大きく&垂れるようになった
などなど、産後、プロポーションが崩れたことで悩むママはとても多いでしょう。ただ、プロポーションの悩みは3つのこと「筋肉を鍛え」「柔軟性を高め」「姿勢を良くする」で解消できます。
まず、妊娠中は優先的に赤ちゃんに栄養を与えるので、ママの身体の筋肉は衰えやすいです。筋力が低下すれば身体がたるんで見えますし、代謝機能も落ちるので、妊娠中のママはそもそも太りやすくなります。
そして、妊娠中は大きくなったお腹で腹筋が引き伸ばされるので、産後ぽっこりお腹になるのは当たり前です。引き伸ばされた腹筋は時間が経てば元に戻っていきますので、回復するのを待ってから腹筋を鍛えていくと良いでしょう。
また、妊娠中は反り腰になりやすく、その場合は骨盤が前傾します。
骨盤が前傾すると、腸骨の外側の広がっている部分がせり出したり、大殿筋に力が入りにくくなります。さらに、骨盤の前傾に連動して太ももの骨が内側にねじれ、骨盤が横に広がったように感じます。
その影響で、お尻が広がって大きく・垂れて見えたり、くびれがなくなって寸胴体型に見えるんです。大殿筋に力が入らない状態が続けば、筋力が低下しお尻の位置が下がることにつながるでしょう。産前のジーンズやスカートが履けなくなるのはこれが理由です。
こういった理屈ですから、これらの症状は「骨盤の傾きを正常に戻す」「腹筋を含めバランス鍛えて引き締める」、、、つまり「筋肉を鍛え」「柔軟性を高め」「姿勢を良くする」によって改善できるのは分かっていただけるでしょう。
施術院での骨盤矯正はどんなことをする?通う意味はある?
整骨院・整体院・カイロプラクティックなどで「産後の骨盤矯正」をウリにしているところが多いです。ただ、産後の骨盤矯正と言っても、基本的には骨盤自体をどうこうするワケではありません。
方法は施術者によって様々ですが、簡単に言えば…
・マッサージなどで筋肉をほぐす。
・ゆらしたりポキポキして動きの悪い関節の柔軟性を高める。
このようなことをしています。骨盤の歪み解消のためにすべき3つのこと、の項目でお話した「関節の可動域を広げ柔軟性を高める」の部分ですね。
悪い姿勢によって硬くなった筋肉をほぐすことで、筋肉の「疲労回復」「血行促進」「柔らかくなる」などの効果があります。また、可動域の狭くなった関節もゆらしたしポキポキすることで、柔軟性が高まり可動域が広がります。
このように、骨盤そのものを矯正するというよりは、「身体全体のバランスを整えて正しく身体を使えるようにする」というのが、正しい説明でしょう。
こういった施術によってとてもスッキリしますし、骨盤や骨格が正しい位置に導かれますので、姿勢が良くなり「左右の足の長さが揃う」「骨盤の傾きがなくなる」「お尻が小さくなる(小さく見える)」「スタイルが良く見える」など、目に見える効果が得られやすいです。
ただ、施術による効果は一時的なもので、しばらく時間が経てばまた元に戻ってしまいます。長期的な不良姿勢による「筋肉の左右差」「筋肉のこり」などの不均等な状態は、一度骨盤矯正の施術をうけたくらいでは直らないからです。
「じゃあ、骨盤矯正の施術をうける意味はないのでは?」と言われたら、それは考え方次第です。
・自分で自分の身体の状態はなかなか分からないもの。「どこが硬いのか?」「どのような癖があるのか?」など専門家の意見を聞くことができるので、エクササイズやストレッチも自信を持って行える。
・専門家にチェックしてもらうことで安心できる。定期的に進捗状況をチェックしてもらうことで、「ちゃんとできてる!」という確信をもって骨盤矯正を進めることができる。
・悪い姿勢が習慣付くと「良い姿勢」を身体が忘れてしまう。骨盤矯正の施術を受けて身体のバランスを整えることで、「良い姿勢」を脳にインプットすることができる。正しい姿勢を作りやすくなる。
などなど、メリットは沢山あるでしょう。全身の調整をしてバランスを整える、という意味ではとてもオススメですので、良い施術院があれば通ってみるのも良いですね。
ただ、骨盤矯正の施術を受けるだけではなく、日常生活の中で「筋肉を鍛える」「ストレッチ等で柔軟性を高める」「姿勢を良くする」という事を実践していく必要があります。実際のところ、自宅で出来るストレッチやエクササイズ、正しい姿勢、正しい歩き方など指導をしている施術院はとても多いです。
症状によっては医師や専門家の治療が必要!
出産で緩んだ骨盤は、産後自然と元に戻っていきますが、人によってはいろいろと不具合が生じるケースもあるようです。
代表的なものと言えば「仙腸関節の機能障害」です。妊娠中や分娩時などは仙腸関節にかかる負担が大きくなるため、関節に微小な不適合が生じることで機能障害を引き起こすというもの。機能障害になると「仰向けで寝られない」「長時間椅子に座れない」「洗顔の時に身体をかがめる動作ができない」などの症状が出るようです。
他には「恥骨結合離開」という、恥骨結合の連結部分が離開してしまうというものもあります。症状としては、恥骨部・下腹部・太股・腰・会陰・足などの痛みで、「前向きに歩けない」「寝返りが出来ないほど痛い」「階段の上り下りができない」などの症状が出るようです。
どちらも日常生活に支障をきたすような症状ですから、医師や専門家の治療が必要となってきます。経験者ママの体験談を見ると、産婦人科の先生や整形外科の先生に相談している人が多かったです。
ちなみに、仙腸関節の機能障害や恥骨結合離開は、出産前から骨盤に歪みがあるママに多くみられるようです。最近は骨盤の靱帯や筋肉が弱く、リラキシンの影響で緩み過ぎてしまうママも多いようで、それも原因の1つとして考えられるでしょう。
まとめ
以上、産後の骨盤矯正のことについて、詳しく解説させていただきました。「産後の骨盤矯正」について、ある程度は明確になったのではないでしょうか?
産後の骨盤矯正のことを調べていると、ママの不安を煽るような内容が書かれていることも多いですが、多くの場合は「商売のためのセールストーク」だと覚えておいて欲しいです。
骨盤の歪み・身体の歪みを解消するために必要なことは、基本的には…
- 【1】骨盤や姿勢に関係する筋肉をバランスよく鍛える
- 【2】関節の可動域を広げ柔軟性を高める
- 【3】日常の姿勢を良くする
の3つですので、これらを同時並行で実践していきましょう。
特に【3】は重要です!
・バッグは左右交互に持つ。肩にかける時もバランス良く。
・授乳中は猫背にならないように授乳クッションを使う。
・足を組む・横座り・あひる座りなどはしない。
・正しい位置に骨盤がくるようなあぐらや正座で座る。
などなど、日常生活の中で「正しい姿勢を保つこと」「バランスの良い身体の使い方をすること」を心がけてください。