学資保険は必要?必要性を判断するための4つのポイント
子供のいるママ・パパのほとんどが、一度は検討するのが「学資保険」で、実に6割~7割のご家庭では学資保険に加入しています。
ただ、「親に言われたから」「ママ友がみんな入ってるし」「銀行で勧められて」など、『周りの人の影響でなんとなく加入してしまった』というケースも多く、「学資保険って本当に必要なの?」と疑問を感じている人が多いようです。
そこでこのページでは「そもそも学資保険って何なの?」という話から、「メリット・デメリット」の話も交え、「学資保険の必要性があるのか?ないのか?」を判断する為のポイントをまとめました。
この記事を読み終える頃には、あなたのご家庭で学資保険が必要なのかどうかが、ハッキリと分かるでしょう。
もくじ
そもそも学資保険とは?
そもそも学資保険とは、将来の子供の学費を積立するための商品です。保険会社によっては「子ども保険」という名称にしているところもあります。
継続的に保険料を支払い、ある年齢になった時に「祝い金」「満期保険金」などの名目でお金を受け取ることができます。基本的には「戻り率110%」のように、お得にお金を積み立てることができます。
また、生命保険会社が販売しているので、親に万が一のことがあった場合に「今後の保険料免除で満額受け取れる」という嬉しい保証が付いている商品も多いです。
【子供の学費・教育費(幼稚園~大学卒業)の平均はいくら?】で解説したように、子供の学費はオール国公立でも1人当たり1000万円が必要になります。早くから準備をしないと貯めれませんので、お得に学費を貯める手段の1つとして学資保険は有効と言えるでしょう。
4つのメリットから学資保険の必要性を考えよう!
普通に貯蓄するよりも学資保険に加入することで、次のような4つのメリットがあります。
確実にお金を貯めることができる!
子供の学費は確実に必要なお金ですから、計画的にコツコツ貯めていくことが重要。しかし、普通に銀行口座に貯蓄すると「ついつい使ってしまった」「赤字の補てんに回してしまった」など、順調に貯めれない人も多いようです。
その点、学資保険は途中解約をすると元本割れになるので「損をしたくない!」という気持ちも働き、ある意味強制的にお金を貯めることができます。
ですので、貯金が苦手だったり、しっかり積み立てていく自信のない人には、学資保険はオススメと言えるでしょう。
お得にお金を貯めることができる!
銀行に貯金する場合、とても低金利ですからほとんど利息はつきません。その点、学資保険であれば払込み保険料より10%ほどアップする商品もあって、お得に貯めることができるんです。
例えば、フコク生命の学資保険「みらいのつばさ」であれば…
(※2015年11月の内容です)
・ステップ型:戻り率約108.4%
払込み保険料~1,936,572円
貰えるお金~2,100,000円
・ジャンプ型:戻り率約110.1%
払込み保険料~1,814,988円
貰えるお金~2,100,000円
このように、払込み保険料よりもずっと大きな金額を受け取ることができます。ですので、「銀行に貯金するよりもお得に貯めたい!」という人にも、学資保険はオススメと言えるでしょう。
万が一の場合、保険料の支払いが免除になる
学資保険は生命保険会社が販売しているので、多くの場合、生命保険機能として「保険料免除」がプラスで付いてます。
これは契約者(親)に万が一の事態があり、保険料の支払いが困難になった場合に、保険料が免除されるというもの。保険料の支払いはなくなりますが、「祝い金」「満期保険金」は満額受け取ることができます。
ですので、「もし親に万が一のことがあったら」と考えると、学資保険はとても安心できる商品と言えるでしょう。
生命保険料控除の対象となる
学資保険にあって、他の金融商品にはないメリットとして「生命保険料控除」があります。学資保険は生命保険会社が販売している商品ですから、支払った保険料は生命保険料控除の対象となるんです。
そして、生命保険料控除の申請を行うことで、「所得税」「住民税」が減額されるというメリットがあります。所得税で最大40,000円、住民税で最大28,000円が控除されます。
これは例えば、課税所得500万円・所得税率20%として、最大の40,000円の控除であれば、40,000円×20%=8,000円の所得税が軽減されることになります。
住民税率は一律10%なので、最大28,000円の控除であれば、28,000円×10%=2,800円の住民税が軽減されることになります。
合計金額は10,800円、学資保険の払込み期間を18年間として単純計算すると194,400円となります。
もし、先ほどの例で、フコク生命の学資保険「みらいのつばさ」のジャンプ型に加入していた場合…
・払込み保険料:1,814,988円
・貰えるお金:2,100,000円
・差額:+285,012円
ですから、控除の金額との合計は479,412円となります。これは【払込み保険料1,814,988円で貰える金額2,479,412円】とも言い換えることができるでしょう。
※ちなみに、「所得税」「住民税」を減額するために「医療費」も有効活用できます。妊娠・出産関連でかかった費用も控除対象になるので、是非、医療費控除も活用していきましょう。(参照→妊娠・出産費用と医療費控除(確定申告)の重要ポイントまとめ)
以上のように学資保険に加入するメリットが、沢山あることが分かります。
学資保険にはデメリットも!マイナス面から必要性を見直そう!
ただ、学資保険に加入することは、メリットばかりではなく、次のようなデメリットもあります。これらのデメリットを大きなマイナスと感じるなら、あなたにとって学資保険は向かない商品かもしれません。
気軽に換金できなくなる!
上記で「確実にお金を貯めることができること」をメリットとお話しましたが、長期間の積み立てになるので、「どうしてもお金が必要!」という場合には困ったことになります。
そんなケースでも、途中解約すると元本割れして損するため、気軽に換金することができませんので、これをデメリットと感じる人もいるようです。
ただ「気軽に換金できないから、確実に貯蓄できる!」というように、メリットと捉えることもできるので、ここはあなたの考え方次第と言えるでしょう。学資保険に加入してるご家庭が6割~7割という現実を考えると、「気軽に換金できないこと」をメリットとして捉えている人が多いと想像できます。
固定金利でインフレ(物価上昇)に弱い!
学資保険は定額型の保険で、契約の段階で「満期保険金210万円」のように、将来受け取る金額が約束されています。ですので、もし今後インフレ(物価上昇)になった場合、価値が下がってしまう商品でもあります。
例えば、大学初年度に必要な学費が200万円だとして、満期保険金200万円の学資保険に加入。しかし18年後に物価が1.5倍に上昇し、学費も1.5倍の300万円になってしまっていた…なんて状況になる可能性があるということです。(※あくまで例えです。)
ですので、学資保険のデメリットとして「インフレに弱いこと」を挙げる人もいるようです。ただ、毎月支払う保険料も同じなので、物価上昇する過程においては負担が軽くなる、という考え方もできます。
学資保険の必要性を判断するための4つのポイント
以上のように、学資保険にはメリットとデメリットがあり、両者を天秤にかけて学資保険の必要性を判断していくことになります。簡単にまとめると…
メリット
- 確実にお金を貯めることができる!
- お得にお金を貯めることができる!
- 万が一の場合、保険料の支払いが免除になる
- 生命保険料控除の対象となる
デメリット
- 気軽に換金できなくなる!
- 固定金利でインフレ(物価上昇)に弱い!
これらの事から、学資保険の必要性を判断するためのポイントを4つにまとめました。
【1】自分で確実に貯蓄できるかどうか?
子供の学費・教育費は絶対に必要なものですから、その費用は確実に準備しておかなければなりません。将来の学費がすでに準備できている人であったり、自分で貯蓄する自信がある人であれば学資保険は必要ありません。
しかし「自分で確実に貯蓄できるか不安」「貯金が苦手」という人には、【強制的な貯蓄】として学資保険を活用するのは良い選択肢と言えるでしょう。
ただ、銀行口座のように気軽にお金を引き出せなくなりますし、途中解約すると元本割れしてしまうので、これをデメリットとして挙げる人もいます。しかし『子供の学費のために』と考えると、「その分、頑張って確実に貯蓄できる」というメリットと捉えることもできますね。
【2】銀行よりもお得に貯蓄したいかどうか?
先ほどフコク生命の学資保険を例にあげましたが、「みらいのつばさ」のジャンプ型であれば…
・払込み保険料:1,814,988円
・貰えるお金:2,100,000円
・差額:+285,012円
というように、普通に銀行貯金するよりも、圧倒的にお得に貯蓄することができます。
また、生命保険料控除の対象となり、所得税と住民税が安くなるというメリットもあります。例えば先ほどの例で言えば、1年間で10,800円(所得税8,000円+住民税2,800円)、18年間で194,400円もの税金が軽減されます。
「税金が軽減された分、子供の為に貯金しよう!」と考えた場合、285,012円(学資保険)+194,400円(税金軽減分)=479,412円ものお金がプラスになるので、より効率的に貯蓄できることが分かります。
さらに!子供を保育園に通わせたい場合、保育料が安くなる可能性もあります。
【妊娠・出産費用と医療費控除(確定申告)】で書いたように、保育料は所得税額の大きさによって決まります。
例えば、
・所得税額55,000円~70,000円→保育料1ヵ月32,700円
・所得税額70,000円~103,000円→保育料1ヵ月39,400円
のようになっており、境目のライン(今回なら70,000円)を超えるかどうかで、保育料に大きな差がでることもあります。この例だったら、所得税が減額されて70,000円未満になれば、保育料が1ヵ月6,700円、年間80,400円も安くなる計算となります。
このように学資保険には、高い戻り率でお金が増える以外にも、生命保険料控除によって「所得税・住民税・保育料が安くなるかも」というメリットもあるんですね。
この話を聞いて「銀行に預けておくのはもったいない!」と感じた人には学資保険はオススメでしょう。
【3】保険商品としての価値を重要視するかどうか?
学資保険の大きな魅力の1つが「万が一の場合、保険料の支払いが免除になる」という仕組みです。多くの商品では生命保険機能として、契約者(親)に万が一のことがあった場合には、その後の保険料は免除され、保険金は契約通りに貰うことができます。
これは生命保険会社が販売している保険商品ならではのメリットで、他の金融商品には無い魅力と言えるでしょう。ですので「万が一の時に安心!」を魅力と感じる人には、学資保険はオススメです。
【4】学資保険以外の資産運用を考えるかどうか?
学資保険のデメリットの1つに「インフレ(物価上昇)に弱いこと」があると説明しました。学資保険は将来受け取る金額が決まっているので、物価が上がった場合に、価値が下がってしまうということでしたね。
ただ、インフレに弱いのは銀行口座に貯蓄する場合も同様ですので、もしインフレを意識するのであれば、インフレに強い資産運用を検討する必要があります。
インフレに強い資産運用と言えば…
- 不動産投資
- 株式投資
- 外貨への投資
- 個人向け国債「変動金利型10年満期」への投資
- 1年以下が満期の定期預金
- 金などの貴金属への投資
などがありますが、確実性を重要視する場合には「国債」「定期預金」あたりがオススメと言えます。
個人向け国債「変動金利型10年満期」であれば半年毎に適用利率が変わるので、インフレの影響を受けにくい商品と判断できるでしょう。
また、インフレになると定期預金の金利も少し遅れて上昇します。定期預金の金利は「固定金利」なので、長期定期預金の場合は、学資保険と同様にインフレの影響を受けてしまいます。その点、1年以下が満期の定期預金であれば、常にその時代に合わせた金利で契約できるので、急激なインフレでない限りは安全性が極めて高い商品と言えるでしょう。(※短期の契約を繰り返す手間はありますが…)
このように、学費を貯める方法は学資保険だけではありませんので、他の資産運用をしたい場合には、学資保険に加入する必要性はありません。
ただ、国債にも定期預金にも、学資保険にある「所得税・住民税・保育料が安くなるかも」「万が一の場合に支払い免除」というメリットはありません。
- インフレへの強さを重要視する→国債や定期預金
- 保険商品としての価値を重要視する→学資保険
のように、どのポイント重要視するかによって、選択肢が変わってくるでしょう。
「学資保険」と「インフレに強い資産運用」の併用がベスト!?
以上、学資保険の必要性を判断するためのポイントを4つご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?あなたのご家庭にとって、学資保険の必要性があるかないかの判断はつきましたか?
当サイトの考えとして、学資保険は【確実に貯蓄できる・お得に貯蓄できる・万が一も安心】と3拍子揃ってますから、「子供の学費を確実に準備したい!」と考える人にはオススメの商品と判断しています。
ただ、インフレに弱いというデメリットがあるので、それをカバーする為に、学資保険と「インフレに強い資産運用」の併用がベストの選択だと考えています。
オススメの学資保険については次の記事が参考になるでしょう。
そもそも、子供の学費・教育費は、オール国公立でも1人当たり1000万円が必要になります。つまり大学まで通わせたい場合は「最低1人1000万円必要」ということですから、教育資金のすべてを学資保険だけで準備するのは難しいでしょう。
ですので、学資保険の他に、国債や定期預金なども併用し、インフレに負けないよう貯蓄する意識が大切でしょう。
一番重要なことは「子供の学費を確実に準備すること」ですから、それぞれのメリットを活かして、効率よく貯蓄していただけたらと思います。
ちなみに、子供の学費を貯める手段の1つとして、児童手当も有効活用できるでしょう。(参照→支給金額198万円!?実はスゴイ児童手当を丸ごと解説!)
また、これから出産のママさんには、次の記事もオススメです。
→出産費用は平均100万!?大幅に節約できる13の制度まとめ
特に仕事をしているママさんの場合は貰える金額が大きくなるので、浮いたお金を学費に回すこともできるでしょう。お金を貰える制度は沢山あるので、最大限有効活用していただけたら嬉しいです。