【2021年度版】出産育児一時金]貰える金額や申請手続きの注意点まとめ
妊娠・出産でかかる費用として、最も大きな割合を占めるのが「出産時の入院・分娩費」です。
「出産費用は平均100万!?大幅に節約できる13の制度まとめ」の記事で紹介したように、入院分娩費の平均は56万円と高額ですから、「そんなに払えないよ…」と、金銭面で心配されているママも多いでしょう。
そんなママに嬉しい制度が「出産育児一時金」で、入院分娩費として健康保険から、なんと42万円も貰えるんです!
今回はとっても重要な「出産育児一時金」について、貰える金額や条件、差額請求、注意したい申請手続きのことなど解説していきます。
もくじ
出産育児一時金とはどんな制度?
妊娠や出産の場合、風邪などの病気の時のように健康保険が使えないため、全額自己負担になります。先ほど言ったように入院・分娩費の平均は56万円と高額ですから、とっても大きな経済負担となってしまいます。
そんな経済負担の軽減を図るために支給されるのが「出産育児一時金」で、入院・分娩費として健康保険から42万円貰うことができます。
産むだけで56万円の金額がかかるとなると、子どもを産む事をためらってしまう人も多いでしょう。その点、出産育児一時金によって自己負担額が大幅に減る(人によっては無料)ので安心して出産できますから、少子化対策にも有効と言えそうです。
出産育児一時金を貰える人の条件は?
出産育児一時金を貰える人の条件は2つあります。
- ママ自身が健康保険に加入している、または、パパの健康保険の被扶養者になっていること
- 妊娠4ヶ月(85日)以上を経過していること
この2つの条件をクリアしており、申請の手続きを行えば、誰でも出産育児一時金を貰うことができます。妊娠85日以上で、残念なことに死産もしくは流産となった場合でも、出産育児一時金の支給対象になります。
共働きで夫婦それぞれが別の健康保険に加入している場合、夫側の健康保険では出産育児一時金を受けられません。
ちなみに、仕事を辞めるママの場合、退職後に加入する健康保険を選ぶことができます。選択肢としては…
- 退職前の勤務先の健康保険に継続加入する(任意継続被保険者になる)
- 国民健康保険に加入する
- 家族が加入する健康保険の被扶養者になる
の3つです。(1)の場合は付加給付があるかもしれないので、内容を確認して、一番お得なものを選択することをオススメします。
付加給付とは例えば、神奈川県医療従事者健康保険組合であれば、出産育児一時金がプラス50,000円となります。30,000円~50,000円ほど追加で貰えるパターンが多いようです。
出産育児一時金の金額をもっとくわしく!
出産育児一時金の金額は、基本的には子ども1人当たり42万円です。1人当たり42万円ですから、多胎の場合は【42万円×人数分】の金額を貰うことができます。双子なら2倍の84万円、三つ子なら3倍の126万円です。
ただ、これは産科医療補償制度のある産院で出産した場合の金額で、それ以外の場合は40.4万円となります。
【産科医療補償制度とは?】
保険契約者を運営組織、被保険者および保険金受取人を産院等として契約し、出産時の事故で重い脳性まひになったケースに対し補償金を支払う制度です。産科医療補償制度に加入する産院で出産した場合、掛け金1.6万円がプラスされて42万円となり、加入してない産院で出産した場合はプラスされず40.4万円となる計算です。
入院・分娩費の平均は56万円ですから、そこから出産育児一時金42万円を差し引いて、その差額14万円が自己負担額の平均となります。56万円が14万円になると考えたら、経済的な負担や不安は大きく減らせることでしょう。
ちなみに、入院・分娩費は30万円の人もいれば100万円の人もいるなど、大きく個人差がでる部分です。42万円以内(自己負担0円)に抑えることも十分可能なのでご安心ください。
主流は直接支払制度!出産育児一時金の申請手続き3パターン!
出産育児一時金の申請手続きには、「直接支払制度・受取代理制度・産後申請方式」の3パターンがあります。各パターンの特徴と手続きの流れについてご紹介します。
直接支払制度 | 受取代理制度 | 産後申請方式 | |
申請する人 | 医療機関が申請する | 自分自身で申請する | 自分自身で申請する |
申請方法 | 書類に記入、サインをして産院に提出 | 自分で書類を揃え、記入し健康保険に提出 | 自分で書類を揃え、記入し健康保険に提出 |
出産費用が42万円未満の場合 | 差額分は自分で請求 | 差額分を自分で請求 | – |
直接支払制度の特徴&手続きの流れ
直接支払制度は「産院がママの代わりに健康保険に申請してくれる」のが特徴です。多くの産院では直接支払制度を採用しており、健康保険から産院に直接、出産育児一時金が支払われます。
<<申請手続きの流れ>>
【Step1】妊娠中、直接支払制度を利用する意思確認の書類を産院でもらい、必要事項を記入して産院へ提出します。
【Step2】入院・分娩費が42万円を超えた場合、退院時に産院で差額を清算します。
【Step3】入院・分娩費が42万円を下回った場合、産後、健康保険に差額の申請をすると、後日健康保険から差額が振り込まれます。
受取代理制度の特徴&手続きの流れ
受取代理制度は「ママが健康保険に申請することで、産院に出産育児一時金が支払われる」という仕組み。ママ自身が申請する必要があるので、直接支払制度に比べると手間が増える仕組みと言えます。
<<申請手続きの流れ>>
【Step1】妊娠中、加入している健康保険にて受取代理制度の申請書をもらい、必要事項を記入します。
【Step2】妊娠中、申請書を産院に持参して、先生に必要事項を記入してもらいます。
【Step3】出産予定日まで2ヵ月以内になったら、健康保険に申請書を提出します。
【Step4】入院・分娩費が42万円を超えた場合、退院時に産院で差額を清算します。
【Step5】入院・分娩費が42万円を下回った場合、産後、健康保険に差額の申請をすると、後日健康保険から差額が振り込まれます。
産後申請方式の特徴&手続きの流れ
産後申請方式は「まず入院・分娩費の全額を自腹で産院に支払い、後日、ママが健康保険に申請し、健康保険からママに出産育児一時金が支払われる」という仕組みです。一度全額負担する必要があるのでご注意を!
<<申請手続きの流れ>>
【Step1】妊娠中、加入している健康保険にて受取代理制度の申請書をもらい、必要事項を記入します。
【Step2】出産で入院する際に、申請書類を持参します。
【Step3】入院前に産院に保証金を支払い、入院中に先生に必要事項を記入してもらいます。
【Step4】退院時に保証金で足りない分のお金を支払います。
【Step5】申請書、入院・分娩費の領収証などを健康保険に提出すると、後日出産育児一時金が振り込まれます。
以上、出産育児一時金の申請手続きには…
・受取代理制度
・産後申請方式
の3パターンがあります。産院によって決められているところもあれば、選択できるところもありますので、産院選びの際に確認しておくことをオススメします。
出産費用が42万円未満!貰える差額のくわしい話
上記の申請手続きの項目にて「直接支払制度」「受取代理制度」の場合は…
入院・分娩費が42万円を下回った場合、産後、健康保険に差額の申請をすると、後日健康保険から差額が振り込まれます。
と書いたように、入院分娩費が出産育児一時金の額より少ない場合、その差額を貰うことができます。
基本的には、健康保険から「病院に一時金を支払いました」というお知らせである「出産育児一時金等の支給決定通知書」や「差額支給のお知らせ」などが届きますので、書かれている内容をよく読んで差額申請の手続きを行いましょう。この場合、特に添付書類が必要ないことがほとんどです。
手続きについては加入している健康保険によって違いがあるので、もし分からない事があれば、各健康保険に確認してみましょう。
また、健康保険によっては、支給決定通知書が届く前に差額請求することも可能です。「出産費用の領収書・明細書の写しなどの添付書類が必要」などの手間は増えますが、「なるべく早くお金が欲しい!」と希望するなら一度確認してみる事をオススメします。
もしもの時は出産費貸付制度を利用しよう!
出産費貸付制度と言って、出産育児一時金の支給までの間、出産育児一時金の8割相当額を限度として、資金を無利子で貸し付ける制度があります。
例えば…
・急なトラブルで入院が必要になったけど、お金がない。
・通える産院が産後申請方式のみの対応。だけどまとまったお金がない。
なんてケースもあるでしょう。
そんな時に、出産育児一時金の一部を借りる事ができるという制度。返済は出産育児一時金からされ、のちに一時金を申請する際には差額が振り込まれることになります。
例えば、貰える出産育児一時金が42万円だとして、出産費貸付制度にて15万円を借り入れした場合、のちに一時金を申請した際には差額の27万円を貰えるということです。簡単に言えば、出産育児一時金を前借りできる制度と言えるでしょう。
もし、出産費貸付制度を希望するのであれば、健康保険に詳細を確認してください。
出産育児一時金まとめ
以上、出産育児一時金について、条件や金額、申請手続き、差額請求のことなど解説させていただきました。
入院・分娩費の平均は56万円と高額ですが、出産育児一時金のおかげで経済負担を大きく減らせる事は分かって頂けたでしょう。1人当たり42万円という金額はかなり大きいと思います。
また、再度の確認になりますが、出産する産院を決める際には、出産育児一時金の申請手続き方法について確認することをオススメします。「直接支払制度」「受取代理制度」であれば特に問題はありませんが、「産後申請方式」の場合は一時的に全額自己負担せねばならないので注意が必要です。
もし出産費用が42万円以内に収まった場合は、忘れずに差額請求して、貰えるお金をしっかり貰っておきましょう。
■追伸:働くママの場合は状況に応じて、失業給付金や出産手当金、育児休業給付金などの手続きも忘れずに行って下さい。参考記事はこちら↓
また、産後は児童手当の手続きをする事になりますが、児童手当について詳しくまとめてみました。良かったら参考にして下さい。
このように妊娠・出産・育児関連で貰えるお金はいろいろあるので、最大限有効活用していただけたらと思います。
妊娠や出産、子育てに関わるお金について、育ラボでは全13記事でまとめています。良かったらチェックして下さいね。